「曲の作りは多少、凝った難しい作りにしても浸透します。高校、大学の両方に言えますが、応援練習の時間を作ってくれます。曲調、歌詞など、一度聴いただけでは参加できない凝った作りのものでも、応援練習をして覚えてくれます。ここが社会人の都市対抗と最も異なる部分だと思います。また近年はスマホ等もあるので、動画サイトなどを活用するなど浸透度は早いです」


~参加するファン層に合わせた応援曲作りを心掛けている

 高校、大学と同様のことがロッテファンに関しても言えた。また同じNPBでも楽天では応援環境等が少し異なった部分もあり、アプローチ方法にも工夫を凝らしたという。

「NPB時代ではファン層の違い、環境なども考慮しました。ロッテではリピーターの方々が多かったので、凝った応援曲でも浸透しやすかったです。球場前のステージなどを使って新曲発表会もしました。これは高校、大学の応援練習と同じ感じです。またSNS等が発達し始めた時期だったので、動画撮影OKにしてファンの皆さんにも拡散してもらいました」

「楽天時代はコロナ禍の応援ルールの下、声が出せない環境下での応援を模索しました。声の代わりにキーボードの生演奏を入れ、手拍子との掛け合いのようなパターンや、演出と連動して球場全体から応援曲が聞こえるような工夫もしました。先日も楽天生命パーク宮城に行って応援を見ましたが、参加しやすい雰囲気が作れていると思いました」

 他競技に関してはチームソング(公式応援歌)等の作成も行っている。バスケットボールのBリーグ・千葉ジェッツ『千葉ジェッツの歌』、サッカーJ3・SC相模原『SAGAMIHALA・LA・LA』、アメフトXリーグ・アサヒ飲料クラブチャレンジャーズ『挑戦者よ』などだ。

「チームソング(公式応援歌)なので制作過程は全く別物。多くの場合、チーム側から単語やイメージした曲調のリクエストがあり、それに沿った形で作ります。これらの曲は試合中ではなく、試合前後に使うことが多い。どちらかといえばイメージ重視というか、ファンに向けてのメッセージソングのような感じです」

「応援楽曲の場合、いかにして選手の後押しができるかを考えます。そういった意味で言えば、自分の個性をより生かせるのは応援楽曲ではないかと思っています。これまでの応援家(=団)人生で経験したことを楽曲にも投影できるとは思います」

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「「応援されて嫌な人はいない」