日本球界に復帰した秋山翔吾
日本球界に復帰した秋山翔吾

 セ・リーグは首位・ヤクルトの独走状態が続き、2位の巨人以下は団子状態になっている。そこで、大きな戦力補強を敢行したのが広島だった。2年半ぶりに日本球界に復帰した秋山翔吾の獲得に成功。卓越した打撃技術は当然のことながら、野球に向き合うストイックな姿勢は若手にも好影響を与える。

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「広島は投打にタレントがそろっているが、チームを引っ張るリーダー的な存在がなかった。秋山は西武時代から選手たちとコミュニケーションを大切にし、時には厳しい言葉で奮起を促すこともあった。侍ジャパンで共に戦った菊池涼介、会沢翼もいてプレーしやすい環境なのでは。チームは間違いなく良い方向に進むと思います」(スポーツ紙デスク)

 ファームで4試合出場し、8日の中日戦から1軍に昇格。同日の中日戦に「3番・左翼」でスタメン出場し、3点差を追いかける3回2死一、二塁で中前適時打、6回には先頭打者で痛烈な右前安打を放つなどいきなりマルチ安打の活躍をみせた。守備でも脚力と肩は衰えていない。10日の同戦で初回に先制されてなお1死一、三塁のピンチで右邪飛を捕球するとダイレクト返球。三塁走者・阿部寿樹の本塁生還を阻止した。

 秋山の名前がコールされると、敵地にもかかわらず中日ファンからも拍手が起こった。救世主としての期待は高まるばかりだが、メジャーを取材する通信員は「過度なプレッシャーをかけるのは良くない。過去にも日本人メジャーリーガーが日本球界に復帰して、なかなか結果が出なかった歴史がある。打撃はMLB仕様からNPBに対応するのに時間がかかる」と警鐘を鳴らす。

 確かに、メジャーから日本球界に戻ってきて目を見張るような活躍をしたケースは少ない。中日・福留孝介はカブス、インディアンス、ホワイトソックスで計5年間プレーし、2013年に阪神に移籍したが度重なる故障の影響で63試合出場にとどまり、打率.198、6本塁打、31打点。08年にレイズでワールドシリーズに出場するなどメジャーで4年間プレーした岩村明憲も楽天に移籍した11年は打率.183、0本塁打、9打点と打撃不振に苦しみ、日本球界復帰後は目立った成績を残せなかった。松井稼頭央も西武時代はトリプルスリーを達成するなど、1997年から7年連続打率3割をマークしたが、メジャーで7年プレーした後に移籍した楽天では打率3割に一度も到達せず、盗塁も移籍1年目の15年の14が最多だった。

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