疲れてきて「2倍モード」になると、親もつい感情的に子どもを叱ることが増えてしまう。だから、親も子も疲労のケアがまずは大事
疲れてきて「2倍モード」になると、親もつい感情的に子どもを叱ることが増えてしまう。だから、親も子も疲労のケアがまずは大事

「子どもが自分の思い通りに動かない」時、親はついイライラしてしまうもの。しかし「イライラ」を親自身が上手に取り扱わないと、「親子パワハラ」となって、子どもを深く傷つけてしまいます。子育てのコツについて、『自衛隊メンタル教官が教える イライラ・疲れをとる技術』を刊行した、心理カウンセラーの下園壮太さんが語った。

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■親子バトルは健全なこと、怒ってしまうからダメな親ではない

 勉強やスポーツ、進路、生き方。食事、寝る時間、歯磨きなどの生活習慣にいたるまで、子どもが思い通りに動かないとき、親はひそかに「怒り」を抱えてしまいます。

 自分の「イライラ」や「怒り」が抑えられなくて、子どもをガミガミ怒鳴ってしまう。その挙句に子どもが反発しようものなら、売り言葉に買い言葉、親子バトルに発展してしまった……。心当たりがある人は、とても多いのではないでしょうか。

 親子とは、多かれ少なかれ、バトルをくりかえしていくのが自然な姿です。

 基本的に、保護者は自分の子どもを支配下に起き、コントロールしたいという欲求を持っています。

 一方、子どもは子どもで「自分で人生のチョイスをしたい」「保護者とは違ったことを選びたい」という欲求を持っています。

 親子が衝突してしまうのは避けられません。バトルを繰り返して、少しずつ保護者は手を離していき、子どもは鍛えられて自立していく。それが、親子の健全な姿だと思ってください。

 ケンカするから、すぐ怒ってしまうから、といって、ダメな保護者だということは決してありません。

 ただし、親子バトルとは自然なものですが、通常子どものほうがストレスを強く感じます。親と子では、上下関係がはっきりしているからです。

 金銭面でも生活面でも、保護者に依存しているのが子どもの立場。会社で社員が上司に主導権を握られているのと似ています。

 優越的な地位を背景に、相手につらいことを強要していくのがパワハラなら、子育ても、パワハラが生じやすい構造になっています。

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「言うことを聞かない子ども」の背景には何がある?