「太陽光発電のビジネスで大当たりして、会社ごと売り払ったそうです。その時、谷口容疑者は『10億円以上、もうかった』と豪語してました。東京・六本木に事務所を構えて飲食店もやってましたね。当初、シンガポールで商売して永住したいと言っていましたが、物価、人件費などが高いので、ターゲットを変更してインドネシアで仕事をするようになったようです」

 今から、8年前のことだ。谷口容疑者はAさんに投資を求めてきた。

「インドネシアで石油を掘ることができる。3億円くらい投資してもらえれば1年で2倍、3倍になります。ぜひ、見に来てほしい」

 そうAさんに打診してきたという。Aさんは、現地を見るため、インドネシアの首都・ジャカルタに向かった。空港に降り立ったAさんを、谷口容疑者が最初に案内したのは、ジャカルタから車で5時間ほど走り、「ジャングルのような場所」にある小さな村だった。

 そこで、自家発電機やバイクのエンジンを改良した機材で「原始的」に石油を掘っていたという。

「このあたりは地下30mほど掘り、パイプを入れると石油がいくらでも出る。この数を増やせば、じゃんじゃんもうかる」

 谷口容疑者はAさんにそう働きかけたという。

 しかし、一つのパイプから掘り出せる石油は1日でせいぜいドラム缶1、2本程度。すぐ近くの海沿いには、大手石油メーカーの大きなプラントがあり、一日に何万バレルという規模で産出していたという。

「てっきり大きな石油のプラントがあると思って行ったので、子供だましのような計画に、『いい加減にしろ』と怒鳴りました。すると、谷口容疑者はしゅんとして謝っていた。えらそうなことを言うけど気が弱いんですよ。かわいそうになったので、その後は怒鳴るのはやめました」

 Aさんがそう振り返る。

 その後、新型コロナウイルスの感染拡大で、インドネシアから一時期、撤退を余儀なくされた谷口容疑者。そこで目を付けたのが、今回の持続化給付金の詐欺ビジネスだったとみられる。

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「給付金で得たカネはインドネシアで投資している」