取り入れやすい生活療法こそ、科学的裏付けがあるものを選ぶのが大切です ※写真はイメージです(写真/Getty Images) 
取り入れやすい生活療法こそ、科学的裏付けがあるものを選ぶのが大切です ※写真はイメージです(写真/Getty Images) 

「快便の秘訣は食事と運動」。昔から言われている生活療法の科学的な裏付けが、近年明らかになってきました。食事や運動のこつ、マッサージ法、トイレの習慣づけ、正しい便器の座り方など、すぐに取り組める改善方法を専門医が紹介します。

【図解】便秘とおなかの張りをやわらげるマッサージ

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 お通じの不快感が続く状態を慢性便秘(以下、便秘)といいます。毎日出るけれど出すのが大変、出てもすっきりしないというのも、実は便秘にあたります。診断するには大腸がん、糖尿病、パーキンソン病など、原因になる病気の有無を検査することが前提になります。

 昔から便秘の生活療法として「適切な食事」「運動」「腸のマッサージ」などがいいとされてきましたが、国内外の研究によって、この三つの生活療法の科学的裏付けが明らかになりました。治療の指針になる「慢性便秘症診療ガイドライン2017」にも記載されています。

■神経質になるより、手軽に取り入れて

 食事で一番のポイントは「第6の栄養素」ともいわれる「食物繊維」です。ガイドラインは厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」の推奨摂取量をもとに、1日あたり成人男性20グラム以上、成人女性18グラム以上を推奨しています。

 食物繊維の取り方のこつについて、鳥居内科クリニック院長の鳥居明医師はこう話します。
「レタスなどの、主に生で食べる野菜はさほど食物繊維が多くなく、かさがあるのでたくさん食べるのは難しいものです。むしろ海藻類や、煮たり焼いたりしないと食べられない豆類、キノコ類などに多く含まれています。白っぽい野菜よりはゴボウなど色のついたもの、洋食より和食のほうが、食物繊維を取りやすいです」

 また、鳥居医師は「あまり難しく考えなくていいですよ」と言います。手軽に朝食を済ませたいなら「グラノーラ」(えん麦などを主としたシリアル食品)を選ぶのもいいでしょう。一食分で約5グラムの食物繊維が摂取できて、そこにヨーグルトを加えれば、乳酸菌の働きで腸の善玉菌が優勢になる「プロバイオティクス効果」も期待できるといいます。外食やコンビニ食で野菜を取りづらいときは、食物繊維を多く含む「機能性表示食品」の野菜ジュースをプラスするのも手です。

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しっかり水分を取るための、飲み方のポイント