そのためにも、個の顔が見える発信が欠かせない。記事はもちろん、SNSも有効だ。最後まで闘える記者かどうかを、情報提供者も、同業者も、見ている。

 私たちの報道から1カ月もたたない2021年2月、今度は中日新聞と西日本新聞が合同取材で鮮やかなスクープを放った。愛知県知事のリコール署名が、佐賀市の貸会議室で組織的に偽造されていたのだ。

 読者との双方向型報道を目指す西日本の「あなたの特命取材班」の窓口にメールが寄せられ、この企画で協力する中日と共有したことがきっかけになった。組織連携を生かした報道は高く評価され、新聞協会賞を受賞した。

 共闘の時代が始まっている。組織の壁など、その気になれば簡単に飛び越えられる。私たちには、まだまだ暴くべき秘密が残っている。