写真はイメージ(GettyImages)
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 このような「ヒトコロナウイルス感染症」の流行の特徴と、パンデミックが起きてからの「新型コロナウイルス感染症」の流行の波を考慮すると、新型コロナウイルスの感染にも季節性の変化があってもおかしくないのではないか、と私は考えています。

 さて、3回目のワクチン接種が世界中で進んでいますが、世界中で新型コロナウイルスワクチンの大規模接種が開始されて以降、接種後の副反応の報告も次第に集まってきています。先日、在宅診療もされている内科の先生(以下、A医師)から教わった、「コロナワクチン接種後の蕁麻疹」についての症例があったのでご紹介したいと思います。

 ある日の深夜2時ごろのことです。目の周りや、手足、体幹部にひどい痒みを伴う赤く盛り上がった膨疹が急に出現したため、救急外来に70代の女性(以下、Bさん)が受診されました。お話を詳しく伺ったところ、Bさんは、救急外来を受診した日の前日に1回目の新型コロナウイルスワクチン(ファイザー製)を接種し、受診する前の夕食には友人が釣ってもらったヒラメを生で食べていたことがわかりました。

 A医師は、新型コロナウイルスワクチン接種によるアレルギー反応、もしくは生で食べたヒラメによる急性アレルギー反応による蕁麻疹と診断し、Bさんに対して抗アレルギー性緩和精神安定剤(ヒドロキシジン塩酸塩)の点滴を行いました。幸い、蕁麻疹は改善し、痒みもピークの時よりは改善したため、抗ヒスタミン薬(抗原抗体反応によって体内に過剰に生じたヒスタミンと拮抗的に作用して抑制する薬)を処方し、翌日の内科外来に受診するように伝え、Bさんは帰宅しました。

 翌日の午前、指示通りに内科外来を受診したBさんの目の周りや体幹、手足に生じていた蕁麻疹はすっかり消失。A医師が「蕁麻疹が落ち着いてよかったですね」とBさんに声をかけると、「昨日はなんともなかったけど、今朝から軽く胃が痛いんだよね……でもほんの少しなの」とおっしゃったといいます。その時、A医師は「もしかすると、生で食べたヒラメにアニサキスが寄生していて、そのアニサキスによる蕁麻疹だったのではないか」と疑い、消化器内科の医師に相談し、急遽、胃カメラをすることに。なんと、胃内にアニサキスが10隻も見つかったのでした。

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アニサキス症は増加傾向に