ダウンタウンは吉本興業創業110周年特別公演で漫才を披露した
ダウンタウンは吉本興業創業110周年特別公演で漫才を披露した

 4月2・3日の2日間にわたって大阪・なんばグランド花月で「吉本興業創業110周年特別公演『伝説の一日』」が行われた。東京のテレビで活躍する売れっ子芸人から大阪を拠点にする漫才師や落語家まで、あらゆる世代、あらゆるジャンルの吉本興業の芸人が総出演する一大イベントである。

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 超豪華な顔ぶれが揃うそんな特別なイベントの中でも、最も世間の注目を集めたのは、あのダウンタウンが舞台に上がるということだった。

 10年前に行われた吉本興業創業100周年特別公演でもダウンタウンは舞台に立っていた。そのときには「エキセントリック少年ボウイ」「明日があるさ」「WOW WAR TONIGHT ~時には起こせよムーヴメント」などの持ち歌を披露していた。

 今回もダウンタウンの出演は告知されていたが、何をやるのかは明かされていなかった。10年ぶりの公演で前回と同じことをやるとは考えづらいし、単にフリートークをしてお茶を濁すとも思えない。ひょっとしてダウンタウンは「漫才」をするのではないか? お笑いファンの間ではまことしやかにそんな噂が流れていた。

 そして、伝説の幕が開いた。4月3日の「伝説の一日 千穐楽 参回目」でダウンタウンの出番が来た。EPOの「DOWN TOWN」が出囃子として流れる中で、明転したステージ中央からセンターマイクがせり上がり、ダウンタウンの2人が姿を現した。ここで見る側の興奮はピークに達した。センターマイクが出てきたということは、そう、「漫才」をやるということだ!

 笑顔で客席に手を振る浜田雅功と、しかめ面でだるそうにしている松本人志。そんな2人の漫才がゆっくりと始まった。

 ダウンタウンが漫才の歴史を変えた、というのはお笑い史の教科書に太字で書かれている有名な話だ。「漫才ブーム」で人気を博したB&B、島田紳助・松本竜介といった漫才師は、ハイスピードの掛け合いを売りにしていた。一方、漫才ブーム後に出てきたダウンタウンはゆっくり話す漫才を演じていた。また、松本の常人離れした発想力を生かしたボケの切れ味にも非凡なものがあり、「シュール」と形容されることも多かった。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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