クレイジー君は少年院の中で中学を卒業。高校には行かなかった。そこで、昨年12月、高認試験(旧大学入学資格検定)を受験した。しかし、結果は不合格。
「議会が忙しかったうえに、裁判も重なってしまった。十分に勉強できなくて、いきなり試験を受けて落ちてしまった。それが悔しくて」
不合格通知を受けた翌日には高認受験の通信教育専門校を探して入学。必要科目の履修単位認定を目指して勉強し直すことにした。
「高認の試験会場に行ったら、いろいろな人がいたんですよ。若者だけでなく、おじいさんやおばあさんもいた。昔、いろいろな事情で高校には通えなかったけれど、いまでも目標があって、やり直したいっていう人。そういう姿勢が大事だな、と思いましたね」
その言葉は、クレイジー君自身に向けられたようにも感じた。
「自分はいろいろな過去を持った人間。そんなやつが大学を目指すことで、『ああ、俺も』って、希望を持つ人もいると思うんです。勉強ができるようになりたい、というより、そういうことで人を引きつけていきたい、という気持ちが強くあります」
■敗者が復活する姿を見たい人がいるはず
大学入学に向けて勉強を始めたころ、クレイジー君は全国行脚も始めた。それは夏の参院選を見据えた布石という。
「北海道から沖縄県まで日本一周する。先日も議会や委員会の合間をぬって九州と四国にそれぞれ1週間行きました。当選無効となれば、その後はがっつりと足を運べます」
そこで何を訴えるのか?
「人生のやり直し、失敗した人のケアを強くしないといけない時代だと思っているので、誰でもリベンジできる世の中をつくりたい」
3月に当選無効となって、戸田市議会を去り、大学に行きながら6月の参院選で政治の世界に返り咲く……。
「そんな敗者復活戦に挑むぼくの姿を見たい人は絶対いる。これからどんな政治をするのか、見たいって人がいるはずなんですよ」
実際、地方を訪ね、そんな話をすると、どんどん人の輪が広がるという。