内山昂輝さん(画像=事務所提供)
内山昂輝さん(画像=事務所提供)

『劇場版 呪術廻戦 0』で狗巻 棘(いぬまき・とげ)役を演じた声優の内山昂輝(31)さん。前編では狗巻 棘という人気キャラクターを演じる難しさや『呪術廻戦』の魅力について聞いたが、後編では自身のキャリアについて振り返ってもらった。3歳で役者をはじめ、デビュー29年目を迎える内山さんが考える「職業としての声優」とは――。

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――内山さんはすでに声優としてのキャリアを20年以上積み重ねています。声優になるにあたり、転機になった出来事はありましたか。

 僕は3歳で親に今の事務所に入れられて、ドラマや映画などに子役として出演することを目指してレッスンに通っていました。そして小学5年の時から吹き替えの仕事が始まって、そこからは役者と声の仕事を並行してやっていくようになりました。

 振り返ると、役者の仕事と学業をこなしながら、いつの間にか声優になっていたという感じなんです。学業もちゃんとやりたいという思いがあったので、大学も普通に通っていて、留年もせず普通に卒業しました。その後、なだらかに20代も終わっちゃったし、いつの間にか声優で生活していく状況になってた感じです。

――そうだったのですね。それでも声優を職業にして生きていこうと決意されたタイミングはあったのでは。

大学3年の就活の時期に、こちらからは「就活をするので新たな仕事を入れないでください」といったストップはかけずにいたんです。それで、就活が本格化する時期になっても、仕事で毎日アフレコに行くような状況になっていて、何も就職活動ができなかった(笑)。

 なので、自分が「明確にストップをかけなかったこと」が決意といえば決意なのかもしれないです。漠然とこれからの人生はどうなるんだろうなと思いながらも、流されるままに声優の仕事をしていて、幸運なことに大学在学中には自立可能なお金を稼げるようになった。だから、「この先食べていけるのかな」という悩みはゼロのまま今に至っているんです。それは本当にラッキーだったと思います。実家を出て独り立ちできる収入が見込めないなら、たぶん他の仕事をしてただろうし。そして、喉を大きく壊したこともないですし、そんなに大きな挫折もなくここまで来てしまいました。

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声優は「部品」として組み込まれる仕事