※写真はイメージです(写真/Getty Images)
※写真はイメージです(写真/Getty Images)

 相談にのってくださったのは、日本グラフィック・メディスン協会の中垣恒太郎さん(専修大学文学部教授)と、落合隆志さん。日本グラフィック・メディスン協会では、『日本の医療漫画50年史  漫画の力で日本の医療をわかりやすくする』という書籍を発刊し、本邦での医療漫画をまとめています。

「たしかに皮膚科医が主人公の漫画はないですね」

 隠れた名作があることを期待していた私はがっかりした気持ちになりました。

「診療科別に漫画を調べてみましたが皮膚科は出てきませんでした」

 日本の医療漫画50年の歴史の中でも見つけられないとすると、これは致命的かもしれない。

「そういえば……」

 と落合さんが紹介してくれた本は、「皮膚科医デルぽんのデルマな日常」というエッセイ漫画。

 はい、私ももちろん読んでいます。デルマな日常は、皮膚科医デルぽんさんが皮膚科医が日常経験するあるあるを時に自虐的に面白おかしく書いた4コマ漫画です。

 思わぬところを突かれた感じでした。

 確かに、大掛かりなストーリーでなくとも皮膚科医の面白い漫画はある。

「こちらのエッセイ漫画を読んで皮膚科医は研究者なんだなと思いました。皮膚科医の思考回路を紹介すると面白いんじゃないでしょうか」

 大きなヒントをもらってから、私はひとつ患者さんとのエピソードを思い出しました。中垣さんと落合さんにその話をしていくうちに、自分でも漫画やドラマの原作として使えそうな内容だと自信を深めていきます。皮膚科医が普段診察で行っていることは謎解きで、名探偵シャーロック・ホームズのようだと気付かされました。

「では、こういった内容で原作を書いていきます」

 と、最後は前向きに話し合いを終えることができました。

 皮膚科医が主人公でも漫画やドラマは作れる!ということを感じた貴重な時間でした。さて、肝心の原作となるエピソードですが、それはここアエラドットで随時発表していきたいと思います。どうぞお楽しみに。

著者プロフィールを見る
大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

大塚篤司の記事一覧はこちら