「弊社としてはできる限り安価で良質なサービスを提供したいと思っていましたが、このような形で不正に利用されたのは、率直に言って遺憾。今回のケースでクレジットカードの登録などが抑止効果になっていないことが明らかになったので、どういった対応を取るか考えていきたい。生徒の身分証の確認をするのも一つの手だと思っており、他社の先行事例があるかどうか、探っている段階です」

 悪用を防ぐしくみについては、運営会社によっても異なるようだ。都内の別の会社が運営する家庭教師紹介サイトでは、授業の内容や日程を運営側がその都度管理。不正なやり取りやリスクのあるキーワードを検出する監視体制をとっており、トラブルがあった際には個人間での解決は求めず、運営が間に入るという。管理にパワーをかけている分、毎回の授業料からサイト側が手数料をとる仕組みだという。

「安価なサイトは紹介まではしますが、その後の契約までの流れや実際の授業の中身は当事者に任せきりになっていて、トラブルリスクも高い。リスク面を補おうとシステムの改修や人の増員をしていけば、安価なモデルは成立しえないと思っています」(運営担当者)

 家庭教師紹介のマッチングサービスで安全性をどこまで担保できるのか。大学ジャーナリストの石渡嶺司氏は、次のように語る。

「こうしたサイトは性善説で運営されており、まさか共通テストなどの試験でカンニングに利用されてしまうということは想定していません。サイト側に悪意はなかったとはいえ、今回のように不正に利用されてしまう余地はある。個人間で話し合ってくださいという体裁をとっていますが、利用する受験生もサービスを提供する学生側も、基本的には10代20代の若者。ストーカー被害の恐れなど様々なリスクを抱えることになります」

 従来の家庭教師紹介サービスも同様のリスクはあるが、価格を高くしている分、トラブルに対応できるマンパワーが割けるという。

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コロナ禍で高まるニーズ