前楽天の牧田和久(左)と前中日の武田健吾(写真提供・楽天ゴールデンイーグルス/中日ドラゴンズ)
前楽天の牧田和久(左)と前中日の武田健吾(写真提供・楽天ゴールデンイーグルス/中日ドラゴンズ)

 プロ野球のキャンプインまであと1カ月を切り、自主トレのニュースも増えてくる時期となったが、昨シーズン限りで自由契約となり、現役続行を希望しながら去就の決まらない選手も少なくない。

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 投手で最も実績のある選手と言えば牧田和久(前楽天)になるだろう。先発、中継ぎ、抑えとあらゆる役割をこなし、日米通算55勝、27セーブ、80ホールドを記録している球界を代表するアンダースローだ。日本球界に復帰した一昨年も52試合に登板して防御率2.16と見事な成績を残しており、昨年も一軍での登板機会は激減したが二軍では29試合に登板して防御率0.33と格の違いを見せつけている。今年で38歳と大ベテランとも言える年齢となっているが、フォームとボールの特殊性を考えればまだまだ戦力となる可能性は高い。投手陣の苦しいDeNAや、抑えのスアレスが退団した阪神などはベテランの投手が少ないだけに、獲得を検討しても面白いのではないだろうか。

 右投手では日本ハムをノンテンダーとなった秋吉亮も動向が注目されているが、もう1人変則タイプの投手で取り上げたいのが荒西祐大(前オリックス)だ。Honda本で8年間プレーし、26歳でドラフト指名を受けた遅咲きの投手で、ルーキーイヤーの2019年には8試合にも先発(リリーフを含めると13試合に登板)している。プロ入り3年目の今年は一軍での登板はなかったものの、二軍では24試合に登板して防御率2.39をマークし、26回1/3を投げて与四球はわずかに3と高い制球力を誇る。

 12月に行われた合同トライアウトでも三者連続三振を奪う見事なピッチングを見せてアピールした。独特の球筋で多彩な球種を操ることができ、前述したようにコントロールも安定している。社会人時代から大きな故障もなく投げ続けているタフさも魅力だ。牧田のところで触れた球団はもちろんだが、同じサイドスローの本格派である又吉克樹(ソフトバンク)が抜けた中日などもその穴を埋める存在として面白いだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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先発、野手で獲得しても面白いのは?