チームの中心を担っていた鈴木のメジャー移籍は痛手だが、朗報もある。FA権を取得して去就が注目されていた大瀬良大地、九里亜蓮が昨オフに残留を決断。大瀬良は昨季3年連続3度目の開幕投手を務め、10勝をマーク。九里も13勝で自身初の最多勝を獲得した。この2人がいなければ上位浮上は厳しかっただけに、今季も「ダブルエース」として計算できるのが心強い。

 野手陣も小園海斗、林晃汰、坂倉将吾、宇草孔基ら成長著しい若手たちが中心選手になろうとしている。金メダルに輝いた昨年の東京五輪では、鈴木、菊池涼介、森下暢仁、栗林良吏と球団別で史上最多の4選手が選ばれて大活躍した。故障で出場辞退したが、曾澤翼も選出されている。

 個々の選手の能力は他球団に見劣りしないが、気になるのは戦いぶりだ。勝負所でのミスが目立ち、淡白に見える。16~18年に球団史上初のリーグ3連覇を達成した時は、劣勢でもひっくり返せる粘り強さがあったが、3年連続Bクラスに低迷した現在はその面影が見られない。

 広島は絶対的エースだった前田健太(現ツインズ)が15年オフにポスティング・システムでドジャースに移籍が決まった際、戦力ダウンが危惧されたが、翌16年から3連覇を飾っている。鈴木が抜けても、全員が一丸となり再び頂点に返り咲けるか。混戦のセリーグでチャンスは十分にある。(西川秀之)