今年のM-1 最年長優勝の錦鯉
今年のM-1 最年長優勝の錦鯉

 12月19日、漫才日本一を決める『M-1グラプリ2021』が行われた。この日までに予選を勝ち抜いたのは、もも、真空ジェシカ、モグライダー、オズワルド、ランジャタイ、インディアンス、ゆにばーす、錦鯉、ロングコートダディのファイナリスト9組。そこに当日行われた敗者復活戦の勝者であるハライチを加えた10組によって決勝が争われた。

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 ハイレベルな戦いを制して優勝を果たしたのは、最年長ファイナリストの記録を持つ錦鯉の2人だった。生きのいいフレッシュな若手芸人による戦いというイメージがあった『M-1』だが、今年のチャンピオンは50歳の長谷川雅紀と43歳の渡辺隆の2人から成る堂々たる「おじさんコンビ」。吉本興業以外の事務所から優勝者が生まれたのも14年ぶりで、北海道出身者(長谷川)が優勝したのも初。何もかもが記録づくめの優勝劇だった。

 優勝が決まった瞬間、渡辺は長谷川に抱きつき、「ありがとう」とつぶやいたという。2人は涙を浮かべ、審査員を務めた富澤たけしと塙宣之も珍しく泣いていた。苦労を重ねて、50代と40代で夢をつかんだ「おじさんコンビ」の奮闘に日本中が感動に包まれた。

 錦鯉は、決勝で披露した2本の漫才で大きな笑いを起こし、ぶっちぎりの優勝を果たした。彼らは昨年にも決勝に上がっていたが、優勝は逃していた。昨年に比べると、ネタの面白さにも磨きがかかり、観客の心をつかむことに成功していた。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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