安倍晋三元首相(左)と岸田文雄首相
安倍晋三元首相(左)と岸田文雄首相

「高市氏は保守とは何かという話からはじまり、政策課題などを話す中で、中国の人権問題に懸念を表明。アメリカなどと共同歩調をとるべきと、訴えていた。横で聞いていた安倍氏もうなずいていました」

 そして安倍氏も9日、派閥会長を務める安倍派(清和会)の会合で「中国の人権状況に鑑みて、日本は政治的な姿勢や、メッセージを出すべきではないか、意思を示すべきではないか」と高市氏と同様に外交的ボイコットに賛同する意向を見せた。

 また安倍氏は中国の最大懸念事項である台湾有事について度々、言及。12月6日の清和会のパーティでは、「中国は軍事力を背景に、尖閣諸島、南シナ海、台湾への圧力を強めている」などと外交的ボイコットに加えて、中国の懸案、台湾問題にも踏み込んだ。

 安倍氏の一連の厳しい発言に、中国は駐中国日本大使を呼び申し入れを行うなど、反発を強めている。

 岸田首相と同じ派閥で側近の林芳正外相は、就任直前まで超党派の日中友好議員連盟の会長を務めた親中派だ。また、中国は東京オリンピックには閣僚級の局長を派遣している。

「東京オリンピックから半年ほどで、外交的ボイコットとなれば、日本はどういうつもりだとなる。日本はアメリカほど中国との関係が悪化しているわけではない。外務省サイドからは外交的ボイコットは避けるべきとの意見が強い。アメリカと違い日本と中国はお隣同士で、中国への依存度はアメリカとまったく違う。だから岸田首相は日本国益が一番だと語っている。だが、アメリカなどの主張、安倍氏や高市氏の発言力が上回り、板挟み状態になっています」(官邸関係者)

 そこでオリンピックの金メダリスト、室伏広治スポーツ庁長官や山下泰裕日本オリンピック委員会会長を派遣する「折衷案」も検討されているという。

 20年以上、自民党政務調査会の調査役を務め、安全保障にも詳しい政治評論家の田村重信さんはこう話す。

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岸田首相の秘策とは?