今季は開幕から首位を走っていたが、佐藤輝明、伊藤将司、中野と新戦力の台頭で勢いによるところが大きかった。後半戦に入ると失速するが、それは必然のように映る。主軸が軒並み不調になると、作戦の引き出しが少ないため得点が取れない。守備で勝ち切らなければいけない試合が増えてくるが、勝負所でのミスも目立った。今季86失策は4年連続で12球団ワースト。本拠地・甲子園は土のグラウンドでゴロがイレギュラーする確率が高いため、人工芝のグラウンドより守備に神経を使うことを考慮してもミスが多すぎる。フライが上がると、野手同士が譲り合うなど「守備意識の低さ」が露見された。

「内野の守備強化の一環として、今年の春季キャンプで川相昌弘氏を臨時コーチに招きましたが、1カ月間で劇的に改善するほど甘い世界ではない。シーズンを通じて指導してもらうために、正式にコーチとして入閣も検討するべきでしょう。2年連続2位と数字だけ見ればリーグ優勝にあと一歩に見えますが、攻守の精度を考えるとヤクルト巨人より落ちる。いつか優勝できると楽観視していたら、すぐにBクラスに落ちる。ヘッド格に優秀なブレーンを入れるなど、選手だけでなく首脳陣も大幅なテコ入れをして意識を変えなければいけないと思います」(スポーツ紙デスク)

 肩を落として甲子園から引き上げる阪神ファンを見て何を思うか。頂点に向けて、課題は山積みだ。(安西憲春)