阪神の矢野燿大監督(C)朝日新聞社
阪神の矢野燿大監督(C)朝日新聞社

 セ・リーグのCSファーストステージ。2位の阪神は本拠地・甲子園で3位・巨人を迎え撃ったが、2連敗と見せ場を作れず終戦。スポーツ紙記者はその戦いぶりをこう振り返る。

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「この2戦は原辰徳監督と矢野燿大監督の差を感じました。原監督は2戦目で先発・高橋優貴が先制点を取られて不安定と見ると、2回途中でスパッと変えるなど短期決戦で空気を変える術を知っている。一方、矢野監督は『相手が嫌がる戦術』という観点が決定的に欠けていた。1戦目で主将の大山悠輔をスタメンから外しましたが、巨人の担当記者から『助かった』という声が聞かれた。今季は不本意な成績でしたが、エース・菅野智之相手に連打はなかなか望めない。1発で試合の流れを変えられる大山をなぜ外したのか。打線の迫力不足は否めなかった。2戦目も巨人を上回る11安打を放ちながら2得点のみ。V逸の原因になった『1点をどう取り、1点をどう防ぐか』の精度が低いまま。この2試合は今年の阪神を象徴する敗戦でした。矢野野球の限界を感じましたね」

 巨人はこの2戦で2年連続本塁打王、打点王に輝いた不動の4番・岡本和真が欠場している。戦力ダウンは必至で「阪神有利」の声も聞かれたが、実際は勝てる雰囲気が漂っていなかった。1戦目の1点を追いかける5回。4回までパーフェクトに抑えられていた菅野から先頭打者のマルテが初安打を放ち、阪神ベンチが動く。打者・糸原健斗で1ボールの2球目に一塁走者のマルテがスタートを切ったが、捕手の小林が立ち上がって外角に大きく外すとマルテは二塁で憤死。巨人サイドにサインがバレているかのようなベンチワークで、チャンスを逸した。

 2戦目は2点を先取した直後の3回に、吉川尚輝の三遊間に飛んだゴロを遊撃・中野拓夢がファンブルする失策をきっかけに逆転を許す。8回も先頭打者・坂本勇人の三塁線のゴロを大山が逆シングルで処理しようとしたがはじいた。この失策も失点につながり万事休す。自滅の形で敗れた。

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