「小選挙区は全候補者の中で一番にならないといけませんから、『音』『見栄え』、そして『書き心地』も考慮して表記を決める必要があります」(大濱崎氏)

■難解な漢字でもメリットになるケース

 一方で、例外もあるという。

 例え簡単な漢字の名字ではなくとも、その候補者の一族が地元で知れ渡っており、その一族の人間だとアピールした方がメリットになる場合などがそれに当たる。

 ちなみに沖縄の選挙ではカタカナを採用する候補者が多いが、これは昔からの習慣で地域の文化的なものだという。

「候補者によって判断はさまざまですので、ひらがな表記が増える傾向にあるとはいえ、激増するということはないと考えています」(大濱崎氏)

「落ちればタダの人」かもしれない候補者たちの戦いには、こんな目に見えない戦略が隠されている。

(AERAdot.編集部・國府田英之)

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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