自民党の衆院選特設サイトから
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 漢字の上にふり仮名をふって覚えてもらうという手もあるが、実際にポスターにふり仮名をふっても字は小さく目立たない。

「選挙ポスターなど、そのあとの作り物すべてに関わってきますので、漢字でいくのか、ひらがなにするのか、一番最初の段階で提案し決定します。赤ちゃんが生まれたらすぐに名前を着けるのと同じようなものですね」(大濱崎氏)

 ただ、ひらがなにすれば必ず得票が増えるという明確なデータや裏付けはないという。

「選挙ポスターは各候補とも大きさが同じなので、その条件の中でより魅力的に仕上げる必要があります。ひらがなは漢字よりフォントの種類が多く、デザインしやすいため、映えるという意味では漢字よりメリットがあります。ただし、ひらがなの文字数が多いと、一文字一文字が小さくなってしまい漢字を使用した時よりも目にとまりにくくなります。ここはとても難しい点で、ライバルとなる他の候補者がどんな表記にしているかなど、様々な状況を考慮したうえで決定していきます」(大濱崎氏)

■立って書きやすくするために

 また、投票に行く人が多い高齢者層への対策という側面もあるという。

 大濱崎氏によると、何の漢字を書いたのか読めないような字を書いてしまっているケースや、投票記載台の上に候補者の名前が書かれているにもかかわらず、まったく違う漢字を書いてしまっていることも、とても多いそうだ。

「立って書く上に、日常的に鉛筆を使う高齢者は少ないので、『書きづらい』『手が震えてしまう』『紙が小さくて書きにくい』などという苦情は実際によく聞きます。こうした高齢者層のことを考えると、間違えにくく書きやすいひらがなにした方がいい、という考え方もできます」(大濱崎氏)

 さらに“細かすぎる”分析もある。

 候補者について、まったく知らないまま「選挙に行こう」という気持ちだけで投票記載台に立つ人もいるそうなのだが、その人は目の前に書かれている候補者の中で、画数の少ない候補の名前を書く傾向があるという。

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難解な漢字でもメリットに?