日本維新の会の松井一郎代表(左)と吉村洋文副代表(C)朝日新聞社
日本維新の会の松井一郎代表(左)と吉村洋文副代表(C)朝日新聞社

 事務所担当者にマウスシールドをつけていたことを尋ねると、「けっこう前の画像だと思う。今はマスクをつけて演説している」という。

 けっこう前とはいつかと尋ねると、忙しい様子で「いずれにしろ、今言えるのは『コロナと戦っています』だけ。それだけです」と答えた。

 一方、田淵氏を知る東大同窓の医師はこう証言する。

「自由診療でイベルメクチンなど独自のコロナ治療を行うなどちょっと変わった医師。医療関係者の間では、評判はあまりよくない」

 田淵氏のクリニックは「診療内容及び診療報酬の請求に関して、不正又は著しい不当の疑いが生じた」として関東信越厚生局と東京都の合同監査を昨年、受けたという。『FACTA ONLINE』(3月13日付)が関東信越厚生局長が2020年8月17日付で出した「監査通知」の全文を公開している。田淵氏は「人生2度目の監査」と題したブログで<昨年8月から厚労省が私を監査。既に3回。まだ問題の指摘なし>と記していた。(後にブログは削除)

 維新が今回の衆院選で躍進すると見られている背景には、日本維新の会副代表の吉村洋文大阪府知事の人気がある。日本維新の会が作った選挙ビラには「地方から国を動かした 命と経済を守る 維新の感染症対策実績」と銘打って、大阪府での実績を列挙している。しかし、コロナ関連の各種指標を見ると、大阪府の数字はよくない。札幌医科大フロンティア医学研究所ゲノム医科学部門のデータによると、人口100万人あたりの死者数(累積)は大阪府が345・6人で全国でワースト1位、ワクチン接種率は67・89%でワースト2位になっている。

◆政府に酷評された維新のコロナ対策

 専門家はどう見るか。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広さんはこう見る。

「ワクチン接種は、松井一郎代表が市長を務める大阪市で遅れていました。国の責任もあるが、重症患者を十分に受け入れる体制が取れていないのが、大阪の死者数の多さにつながっている。また、吉村氏がうがい薬のイソジンをコロナ対策として推奨したのは、軽率でしたね。しっかりとしたブレーンがついていない印象があります」

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実は厳しい評価となっている維新のコロナ対応