目黒区にある田淵事務所(撮影・吉崎洋夫)
目黒区にある田淵事務所(撮影・吉崎洋夫)

 明日に迫った衆院選の投開票で、日本維新の会が大きく躍進しそうな雰囲気だ。各社が実施する情勢調査では公示前の11議席から3倍程度増えると見られている。勢いに乗る維新だが、東京5区で立候補した維新候補者・田淵正文氏の事務所でクラスターが発生。東大医学部出身の医師である田淵氏も含め、8名もの感染者が出たという。いったい何が起こったのか。

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 田淵氏は目黒区にある中目黒消化器クリニック院長でコロナ診療を行っていた。本人のツイッター(10月20日付)を見ると、<一昨日東京のコロナ陽性者26人うち1人は私が報告>と記述。現在の感染状況を<7億円宝くじが当るくらいの確率>と記していた。

 しかし、この3日後の23日に事務所スタッフの一人が体調不良を訴え、新型コロナウイルス陽性と判明。翌24日にはすべての選挙活動を休止し、PCR検査を受けたところ、28日時点で8名の感染者を確認したという。田淵氏本人も感染し、入院となった。

 日本維新の会代表の松井一郎大阪市長は20日に、東京維新の会幹事長の音喜多駿参院議員は22日に応援演説に入っていたが、濃厚接触者にはなっていないという。

 記者が目黒区にある田淵正文事務所を29日、訪れると、中はバタバタと忙しい様子だった。取材で来た旨を伝えると、事務所スタッフは「いま保健所、役所にいかなければならなくて忙しい」という。

 事務所前に掲げられたのぼりには「コロナと戦う がんと闘う 命も経済も守る」と大きく書かれていた。事務所の窓ガラスには「新型コロナウイルスの予防法が書いてあります。ご自由にお持ちください」という貼り紙もあったが、そこに資料は置いてなかった。

事務所の貼り紙(撮影・吉崎洋夫)
事務所の貼り紙(撮影・吉崎洋夫)

 事務所ではコロナ対策はどうだったのか。スタッフは「しっかりとコロナ対策はしていた」という。マスク着用や手指の消毒だけではなく、「次亜塩素酸水」を事務所内でいつも噴霧するなど対策をしていたようだ。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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