放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、コロナ禍の努力で生まれたものについて。

放送作家の鈴木おさむさん
放送作家の鈴木おさむさん

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 10月25日、月曜日にもかかわらず渋谷にはとんでもない人が出ていましたね。都内ではお店の営業時間制限もなくなり、アルコール類の提供も出来るようになりました。

 僕は10月26日火曜日、自分がオーナーをやっている居酒屋に行きました。夜22時に営業しているという感覚が不思議です。

 そしてその時間に、お酒を頼んで飲みました。なんでしょう。悪いことをやっている感覚がある。もうOKなのに、「本当にこの時間に飲んでていいの?」と思う。小さな罪悪感を勝手に背負ってしまう。

 やっぱり、人と話しながらお店でお酒を飲むのは楽しいですね。戻って来たな~という感覚があります。うちの店では、徐々に常連さんも戻ってきています。

 ですが、コロナは終わったわけではありません。ワクチンを打っていても油断は出来ない状態です。こういうのって忘れたころにかかったりなったりするから注意は必要。

 このコロナ禍で、うちの店はサンドイッチを始めたり、さまざまな営業努力をしました。この努力は無駄ではなかった。この期間の努力によって、お店は進化できたと思います。

 お店でお酒を飲んで楽しめるようになると、個人的には、ライブなどのエンターテインメントはいつ戻るのか?気になるところです。

 まず、会場の人数制限。そしてなにより、「声出し」です。ライブではコロナ禍になり、声を出せなくなりました。僕もライブに何度か足を運びましたが、なんでしょう、声を出さずに拍手だけで応援しているライブ。観客との信頼関係で成り立っているんだけど、参加してる方からしたら120%全力で楽しんでいるわけではないと思うんです。そのルールの中で最大限「がんばって楽しんでいる」んですよね。楽しむために「努力」をしているのです。

 やはりライブに行って、声を出して楽しみたいですよね。もしかしたら年内にそんな日が訪れるかもしれない。

 ただ、もしその日が来た時も、僕が火曜日にお酒を飲んだ日みたいに、「本当に声出していいのかな?」と戸惑うでしょうね。エンタメにもリハビリは必要なんだなと思います。

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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