東京都内のJCHO傘下の病院のコロナ患者受け入れ状況(編集部作成)
東京都内のJCHO傘下の病院のコロナ患者受け入れ状況(編集部作成)

◆取材に「回答控える」と尾身氏

「JCHOで問題なのは、政府からの再三の要請にも関わらず、半年遅れの9月末になって城東病院をようやくコロナ専門病院にし、病床を増やしたことです。理事長の尾身氏が開設すると公表した8月末時点で、感染のピークはすでに過ぎており、9月末には感染者数が下火になることは専門家であれば十分に予測できる立場だった。今は却って幽霊病床が増え、補助金だけを受け入れる形になっている」

 JCHOに補助金をどれだけ受給しているのか、幽霊病床の分の補助金を返還する意思はないのか。理事長の尾身氏に質問とともにインタビューを申し込んだ。しかし、広報担当から「個別にいただいたご質問等にはお答えすることはいたしかねます」、「JCHOにおける新型コロナウイルス感染症対応への取組みについては、当機構のHPに掲載しております」と回答があった。

 専門家はどうみるか。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏はこう語る。

「コロナの患者を受け入れなくても補助金を出すという厚労省の制度設計にも問題はあったが、補助金についてどう対応するのか尾身氏は説明責任を果たすべきでしょう。また、JCHOは厚労省が所管する独立行政法人で、本来であれば率先して患者を受け入れないといけない。尾身氏はより一層受け入れの姿勢を明確に示すべきです」

 (AERAdot.編集部 吉埼洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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