長崎大学病院小児科教授の森内浩幸医師(森内医師提供)
長崎大学病院小児科教授の森内浩幸医師(森内医師提供)

「心配であれば、かかりつけ医に相談してください。内科でも構いませんが、小児科は総合診療科なので、12歳以上でしばらくかかっていなくても、小児科でよいでしょう。市販の解熱鎮痛薬を飲む場合は、用法用量をよく確認して年齢に合った量を飲んでください。大人と同じ量のワクチンを打つことに抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、薬と違いワクチンは体重によって量を変えることはあまりありません。12歳以上は、今の量で治験を行い安全性、有効性が示されています」(森内医師、以下同)

「年中なんらかの花粉症で、その関係で果物や野菜等のアレルギーが多いので不安」(高3女子、高2男子の母)など、アレルギーやアトピーを抱える子の接種の安全性についての質問もあった。

「アレルギーは特定の物質に対して起こるものなので、ワクチンにその物質が入っていなければ問題ありません。卵アレルギーや花粉症があっても、今回のワクチンに卵や花粉の成分は入っていないので、気にしなくていいです。注意すべきなのは、これまで薬や他のワクチンでアナフィラキシー(重症のアレルギー反応)を起こしたことがある人。そういった人は、接種の可否を医師が判断しますので申告してください」

「喘息持ちでも打っていいのか?」(小6女子の父)については、「喘息のコントロールがうまくいっていない場合はかかりつけ医と相談したほうがいいですが、喘息を持っている子どもがワクチンを打つこと自体は、全く問題ありません」と森内医師は言う。

■学校生活や受験への影響は?

 副反応については、学校に通う子どもならではの心配もある。「接種後、運動(体育や部活)は当分休ませたほうがいいのか? 休ませる場合は期間はどのぐらい?」(高1男子の母)という質問に、森内医師はこう答える。

「発熱がなければ、学校へは普通に行って構いません。登下校程度の歩行や軽い運動であれば特に控える必要もないでしょう。ただ、非常にまれではありますが、特に若い男性においてワクチン接種で心筋炎が起こる可能性が危惧されています。その心筋炎は、ほとんどが特別な治療をしなくても治るような軽いものですが、念のため、特に男子は接種から1週間程度は、持久走などの激しい運動は控えたほうがいいかもしれません」

 北欧では、心筋炎や心膜炎などのまれな副反応の症例増加を理由に、若年層へのモデルナ製接種を取りやめる動きも出てきている。その対応について森内医師は「絶対必要だとは思っていませんが、過剰だとも思いません」という。

「今のところワクチン接種後の心筋炎はまれであり、軽症のままで治っています。新型コロナに実際にかかった時の方が心筋炎のリスクは遥かに高く、ワクチン接種のメリットはデメリットを上回ると思います。とはいえ、やはり用心に越したことはありません。ファイザーとモデルナのどちらかを選べるのであれば、より副反応の頻度が低い前者を選ぶという方針を取るのは妥当だと思います」

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受験までに受けるべき?