3度目となる五輪シーズンを迎える羽生結弦 (c)朝日新聞社
3度目となる五輪シーズンを迎える羽生結弦 (c)朝日新聞社

 2014年ソチ五輪、2018年平昌五輪で連覇を果たし、3度目となる五輪シーズンを26歳で迎える羽生結弦。唯一無二の存在感を持つスーパースターとなった今の羽生が目指すのは、誰も跳んだことがない大技の成功と、自分らしさを追求する表現だ。

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「早く4回転半の練習をして、誰よりも早く4回転半を公式(の試合)できれいに決める人間になりたいです」

 銅メダリストとして臨んだ昨季の世界選手権(3月)の記者会見で「この大会の後に何をしたいか」と問われた羽生は、4回転アクセルへの強い思いを口にしている。「ここに来るまでに4回転半の練習をたくさんしてきて、体もかなり酷使してきた」とも話している羽生が世界選手権で4回転アクセルを跳ぶことを断念したのは、出発の約3日前だったという。

 また一夜明け会見で北京五輪への思いを問われた際も、強調したのは4回転アクセルへの思いだった。

「最終目標はオリンピックで金メダルではなくて、あくまでも4回転半を成功させることが僕にとっての一番の目標」

「(あと)8分の1(回転)回れば立てますね、間違いなく。ランディングできます」

 さらに、世界選手権が行われたスウェーデン・ストックホルムから帰国後、隔離期間を経て臨んだ国別対抗戦(4月)では、練習中に4回転アクセルに挑む姿もみせている。4回転アクセルを組み込むつもりで作ったという昨季のフリー『天と地と』は今季も継続する予定で、大技を入れた形での真の完成を目指す。

 また、羽生には表現面での進化もみられる。昨季のプログラムはコロナ禍により振付師と共に滑りながら創ることがかなわなかったことで、羽生は多くの部分を自分で振り付けたと語っている。また、シーズン終了後の4月に出演したアイスショー『スターズ・オン・アイス2021』では、オープニングナンバーでセルフコレオによる滑りを披露した。スポットライトを背負い、シルエットとなって登場した羽生の動きは以前にも増して鋭さが増し、ダンサーのような雰囲気を漂わせていた。羽生は今はまっているものとしてBTS(防弾少年団)を挙げているが、世界的なポップスターのダンスから取り入れているエッセンスも感じられたように思う。

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羽生結弦が新たに目指すものとは…