一方のパ・リーグではロッテソフトバンクが積極的に動いているだけに、優勝を争うオリックス楽天も動く可能性がありそうだ。オリックスは新外国人のスパークマンを獲得して投手陣の強化を図り、楽天は巨人から炭谷が金銭トレードで加入して捕手の手当てを図ったが、両チームとも打線に関しては不安が残る。

 オリックスは冒頭でも触れたようにロメロが退団し、楽天も左打者偏重の打線となっているだけにともに右の強打者タイプが欲しいところだ。外国人選手にはなるが、面白そうなのがメヒア(広島)だ。昨年、今年ともうひとつ結果を残すことはできていないが長打力には定評があり、力勝負の多いパ・リーグの野球の方が向いているようにも見える。今年で28歳とまだ若く、長期契約を結んでいるという点はネックになりそうだが、条件と交換要員次第では獲得も決して不可能ではないだろう。日本人選手では巨人でなかなか出番に恵まれない石川慎吾なども面白い存在になりそうだ。

 海の向こうのメジャーではサイ・ヤング賞3回の受賞を誇り、今年のオールスターでも先発を務めたシャーザーがワールドシリーズ連覇を狙うドジャースに電撃トレードになっており、優勝を狙うチームが思い切った補強に動くケースも少なくない。日本ではFAとなるルールもメジャーとは大きく違うためなかなか大型トレードや、短期的な補強をする文化はないが、もう少し選手の移籍が活発になっても良いのではないだろうか。トレード期間終了まであと約半月。日本球界全体の活性化のためにも優勝、Aクラス入りを狙うどこかの球団が思い切ったトレードを仕掛けることを期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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