巨人から楽天に移籍した炭谷銀仁朗(写真提供・東北楽天ゴールデンイーグルス)
巨人から楽天に移籍した炭谷銀仁朗(写真提供・東北楽天ゴールデンイーグルス)

 8月13日に約1カ月の休止期間から再開するプロ野球のペナントレース。東京オリンピックの期間中にはソフトバンクがBCリーグの茨城からアルバレス、巨人がレッズ傘下のマイナーからハイネマンを獲得しているが、逆にメヒア(西武)、ロメロ(オリックス)、レイ(ソフトバンク)が相次いで退団するなど逆に戦力ダウンとなっている球団も目立つ。

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 しかしトレード期間が8月末まで延長されたことでここからの半月で動きが出ることも十分に考えられる。昨年はロッテが沢村拓一(レッドソックス)を巨人からトレードで獲得し、Aクラス入りの大きな戦力となったことは記憶に新しい。今年も果たしてそのような動きはあるのか。あるとすればどの球団がどんな選手を狙うべきなのか、現有戦力から考えてみたいと思う。

 セ・リーグの優勝を争う巨人、阪神ヤクルトの3球団の中で動く可能性が高そうなのはやはり巨人になるだろう。シーズンに入ってからは先述したように新外国人のハイネマンとメジャーから復帰した山口俊を獲得し、3人の選手を育成から支配下に移行しているものの、トレードという意味では炭谷銀仁朗が楽天に移籍しただけで選手を獲得していない。昨年もシーズン途中でウィーラー、高梨雄平を獲得して優勝への大きな戦力となっており、最大のライバルである阪神は中谷将大を交換要員に二保旭をソフトバンクから獲得して投手陣の強化を図っいるだけに、水面下では既に話を進めていることも十分に考えられるだろう。

 補強に動くとすれば今シーズンに限って言えば緊急度の高さは投手になる。エースの菅野智之は調子が上がらず登録抹消を繰り返し、リリーフの柱である中川皓太も故障で離脱。若手の台頭があるとはいえ、不安要素は少なくない。投手に余裕がある球団となると、やはりソフトバンクが筆頭であり、二保を阪神にトレードしてもまだまだ戦力になりそうな二軍の選手は少なくない。中でも貴重な左のリリーフとして面白そうなのが渡辺雄大だ。青山学院大卒業後にBCリーグの新潟で4年プレーし、26歳で育成選手としてプロ入りした遅咲きの投手だが、サイドからの独特のボールの角度と鋭く変化するスライダーには定評がある。故障で離脱中の中川の穴を埋める存在として期待できる選手である。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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パ・リーグで動きそうなチームは?