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東京五輪の開会式に招待されていた安倍晋三前首相が出席を見送ることになった。安倍氏は総理大臣辞任後に大会組織委員会の名誉最高顧問に就任。月刊誌「Hanada」の8月号で、東京オリンピック・パラリンピックについて、「歴史認識などで一部から反日的ではないかと批判されている人たちが、今回の開催に強く反対している」と発言して波紋を呼んでいた。
政府関係者は安倍氏の開会式出席見送りに、「意外ですね」と驚きを口にした。
「安倍さんは『反日の人が東京五輪開催を反対している』という趣旨の発言をしていたので、開会式は堂々と出ると思っていました。16年リオデジャネイロ五輪の閉会式で、スーパーマリオブラザーズのキャラクター、マリオの格好で現れて満足気でした。本来は首相在任中に東京五輪を実現させたかったと思いますが、首相を退いた後に組織委員会の名誉最高顧問に就任したので開会式にも出たかったのではないでしょうか。色々な状況を鑑みて判断したんでしょう」
一方、自民党関係者は冷静な見方を示す。
「東京五輪後の解散総選挙を見据えた上での判断なのでしょう。菅政権は支持率が低下の一途でいつまで持つかわからない。五輪開催に反対の声が多い中、わざわざ開会式に出て火の粉を浴びることはない。菅さんの対抗馬がいない中、選挙では絶対の強さを誇る安倍さんに3度目の首相登板を望む機運が高まっている。今はおとなしくした方が得策だと考えたのでは」
ただ、東京五輪を巡る安倍氏の判断に、国民の間では反発の声が多いのも事実だ。新型コロナウイルスの感染が拡大した昨年3月に東京五輪の開催時期を巡る話し合いで、森喜朗元組織委員会会長が2年延期を提案したのに対し、当時首相だった安倍氏は1年延期案を譲らなかったとされている。
政府主導で開催は1年延期が決まったが、現状ではワクチンの接種がまだ広がらず、大半の競技が無観客で開催予定だ。
スポーツ紙記者はこう指摘する。