木村多江さん(写真=事務所提供)
木村多江さん(写真=事務所提供)

 内村は「俺はまだまだだなぁ」と度々口にする。きっと他人の物差しは関係ないのだ――こう証言するのは、映画やドラマ・舞台で内村と共演経験のある女優・木村多江氏だ。その真意とは?

【写真】「理想の上司ランキング」女性部門の1位はこの人

 理想の上司ランキング、男性部門で5年連続1位のウッチャンこと内村光良の“上司力”に迫った書籍『チームが自ずと動き出す 内村光良リーダー論』(朝日新聞出版)。関係者への取材を重ねた著者の畑中翔太が、リーダー内村を分析する本連載。

 第16回目のテーマは「循環型成長マインド」。

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 内村は、自らに重い課題を用意し、それを越え続けることで成長を続けてきた。
 
 伝説のバラエティー番組『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』(日本テレビ)の演出を務め、内村といろんな企画で苦楽を共にしてきたケイマックス代表取締役社長・工藤浩之氏は、そんな内村を、『ひとりSM』をしているようなもの、と指摘する。

「『ウリナリ!!』のドーバー海峡横断とかもそうですが、昔から自分で立てた目標のために自らを追い込むのが好きなんでしょうね」
 
 ご存じない世代の方のために補足すると、内村は、1999年、『ウリナリ!!』という大人気番組内の企画で、ウド鈴木氏、よゐこの濱口優氏、堀部圭亮氏、元テニスプレーヤーの神尾米氏、日本テレビアナウンサー・藤井貴彦氏らと、イギリスとフランスを隔てるドーバー海峡のリレー横断を達成し、チャネルスイマーに認定されている。

 潮流も早く水温が低いが、ウエットスーツの着用は認められていないため、タレントが番組企画で挑むには過酷すぎるチャレンジであり、当時、低温の海水で体温を奪われ、明らかに限界を超えた形相で顔面を真っ白にしながらも泳ぐことをやめない内村たちの雄姿に、視聴者はくぎ付けになった。

「たぶん直感で、“いじめられている自分”が見えているんだと思います。もはや『ひとりSM』している感じですよ(笑)。自分で自分を追い込んで、ひたすらそれに自分で応えているという」
 

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「俺はまだまだだなあ」