開催するという前提なら、東京五輪は現地観戦よりテレビで見る人が圧倒的に多い。コロナの影響もあるのでいつもより視聴者が大幅に増えるはずです。開催するかしないかでは、ぎりぎりまで時間がかかってしまったけど、もっと多角的なデータを国民に示すことが出来ていれば混乱は防げたかもしれないですね。とにかく五輪はテレビで楽しく見てもらえれば、テレビマンとしても感染拡大防止の観点からもとてもうれしいです。

―今後は何を仕掛けていく?

テレビだけではなくて、いろいろなところに「1秒でつかむ技術」を使っていきたい。というか最近は漫画編集もやってます(笑)。
「本気まんが部」を社内に立ち上げて、テレ東の女性アナウンサーたちの恋愛妄想を漫画化しました。(「ほんとは、どんな恋してみたい? 女性アナウンサー!妄想恋物語」テレビ東京女性アナウンサー 本気まんが部 KADOKAWA)。田中瞳アナは闇がすごい。本人は体調悪かった時に書いたと言ってたけど登場人物がおしなべて死ぬ(笑)。

 森本智子アナはエンディングが宇宙人と恋愛して星が爆発するというもの。池谷実悠アナはメタファーとして癖(へき)をかなり出しています。メタファーを読み解ければ彼女の恋愛志向がわかりますよ。アナたちにとって恥ずかしい作品に仕上がっている(笑)。ひとりずつ打合せしてどんな恋愛をしたいか、聞き出しました。彼女たちは恋愛を大っぴらにしない雰囲気を出してるし、アイドルでもないので恋愛自由なのに隠そうとするから恋愛観をちゃんと出す!と話し合って決めました。それに漫画にするとメタファーに包まれるから本音が出しやすいんですよ。メタファーを読み解きながらご一読いただければと思います。

 高橋さんの人となりを象徴するインタビュー後のエピソードを最後にご紹介したい。

「あれ、靴の中が何かおかしい」

 高橋さんはこう呟いて靴の中から小さな塊を取り出してみせた。

「コンニャクが入ってました(笑)。今朝からずっと変だったんだよなぁ」
(野田太郎)

■プロフィール
たかはし・ひろき 1981年生まれ。早稲田大学卒業後の2005年にテレビ東京に入社し制作局に配属されて以降、人気番組を次々と生み出す。主な制作番組に「家ついて行ってイイですか?」「空から日本をみてみよう」「ジョージポットマンの平成史」がある。著書は「TVディレクターの演出術」「1秒でつかむ」など。