コロナ禍で出会ったミステリアスな女性との不思議な婚活体験とは? (1/4) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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コロナ禍で出会ったミステリアスな女性との不思議な婚活体験とは?

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デートではステーキを注文したトシコさんだが…(GettyImages)

デートではステーキを注文したトシコさんだが…(GettyImages)

 コロナで多くの人の心が蝕まれている。そんな状況は婚活の場面でも感じられることのようだ。57歳で本格的な婚活を始めたライターの石神賢介氏は、最近、何ともミステリアスな婚活体験をしたという。

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 婚活アプリで知り合い、世田谷の住宅街の洋食店で食事をした35歳のトシコさんはコロナ禍で仕事を失った女性だった。彼女の申し込みに、最初は腰が引けた。メッセージがほかの女性と明らかに違っていた。

「助けてください。結婚して子どもを産みたいです。職を失い、毎日就職活動をしています。なかなかうまくいかず、キャバクラの求人にも応募しましたが、初出勤の前日に怖くなって断りました。いっそのこと海外で生活したいのですが、コロナ禍の今は無理です。結婚・出産のご相談をしたいです」

 違和感を覚えたものの、会ってみることにした。レストランで向き合うと、小柄で肌がつるつるした女性だった。

「オーダーはお任せしてよろしいですか」

 洋食店のテーブルに付くと、彼女は満面の笑みで言う。

「わたくし、食事は男性に選んでいただきたいものですから」

 不自然に丁寧な話し方だ。彼女の好みを聞きながら、サラダ、マッシュルームのソテー、ラムロースのグリル、ガーリックブレッドなどを注文した。ラムを選んだのは、トシコさんが鉄分の多い肉がほしい、と言ったのだ。ラム肉は鉄分を多く含んでいる。ところが、料理が来ても彼女は手を付けない。皿に取り分けても、ただ困った顔をしている。

「どうされましたか?」

 そう訊ねても、下を見ている。もう一度聞くと、ようやく口を開いた。

「わたくし、外食ではコースでしか食事をしたことありません。誰かと分けて食べたことは一度もありません」

 びっくりしたが、しかたがない。彼女だけのためにサラダや肉を追加した。テーブルの上は料理でいっぱいになった。ご機嫌になった彼女は、おいしいおいしいと目の前のものを食べる。シャンパンやワインもごくごく飲む。

「わたくし、すぐにでも結婚したいのです」

 食事中、彼女は何度も言った。


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