略式起訴された菅原一秀前経産相(C)朝日新聞社
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菅原氏と秘書が交わしたLINE(提供)
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菅原氏と秘書が交わしたLINE(提供)

 前経済産業相で衆院議員を辞職した菅原一秀氏は、地元の衆院東京9区の有権者に香典や現金など80万円を寄付した公職選挙法違反(寄付行為)で6月8日、東京地検に略式起訴された。

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 一度、不起訴と判断されたが、検察審査会は2月24日付けで起訴相当と議決。東京地検が再捜査をしていた。その結果、菅原氏が地元有権者に香典や会費、陣中見舞いなどの名目で53万円の現金を配り、供花などで27万円相当の花を贈ったことが判明した。

「長く国会議員を務め、大臣にまでなっているのに菅原氏は遵法精神など皆無。香典などカネのばら撒き以外でも、めちゃくちゃです。ひどい目にあった」

 こう証言するのは、菅原氏の元で公設第2秘書を3年間ほど務めた男性のAさん。2016年に知人のツテで菅原氏の公設秘書となった途端、通夜、葬儀に香典を持参して参列することが重要な仕事と言いつけられた。

 選挙区内の通夜、葬儀の情報をつかみ、いち早く菅原氏に報告。菅原氏の代わりに、秘書が香典を持参する。香典には必ず「衆議院議員 菅原一秀」と記したものを渡していた。

 公職選挙法では地元の有権者へ金品を提供することは一切、禁じられている。香典は議員本人が出席し、持参する以外は認められず、秘書の持参となれば、法に触れるのだ。

「訃報の情報があれば、すぐLINEで伝えます。そして、菅原氏から1万円とか2万円という香典の金額が指示されます。いつでも通夜、葬儀に行けるように秘書は香典袋を5枚ほど常備していた。金額は菅原氏の判断で5千円から3万円だった。後援会幹部など関係が濃い方や地元の有力者になるほど、香典の金額を増やしていた。菅原氏から『関係はどうか?』と聞かれ、支援者名簿にも掲載がない方の葬儀がありました。5千円でいいと指示された。後援会幹部の方のご葬儀では『三万』とLINEがありました。菅原事務所では菅原氏からの指示があり、その通り、動くのが秘書の仕事。自分で考えてやることはありません。大臣にまでなるような人からの指示です。それが違法なこととは、検察の指摘があるまで思いもしませんでした」

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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菅原氏のパワハラ