菅原氏の秘書たちは通夜、葬儀に加えて、地元の祭りやイベントの情報にはとても気を使っていた。もし、情報が入らないと菅原氏から「とりこぼし」だとして「罰金」を命じられるのだ。

 2019年1月18日のLINEには菅原氏から「着いたのか」「ペナルティだぞ。仁切りしていない。厳罰」とAさんにメッセージが入った。「着きました。すみません」と謝罪するが、「なぜしていないのか? 3万」と金額を言い渡している。

「仁切りとは、出席予定会合の主催者に、菅原が行くと伝えていなかったことを意味します。秘書だった時には、こういう理不尽なことで30万円から40万円くらい罰金をとられました」(Aさん)

 電話で叱責されることもあり、「アホ、バカと汚い言葉で罵られ『罰金払え』とどやされた。パワハラですよ」という。

 東京地検の発表でも菅原氏は香典だけではなく、地元の祭りや会合などにも会費などと称してカネを配っていたことも立件対象となっている。

 一連の疑惑が明らかになったのは、2019年10月、週刊文春の報道だった。週刊文春が掲載した写真は、菅原事務所の秘書の一人が「衆議院議員 菅原一秀」と書かれた香典を差し出すシーンだった。秘書は写真を撮られたことはまったく知らなかったという。問題とされた葬儀の香典に関するLINEでの打ち合わせ内容をAさんから入手した。

「ISSHU」とあるのは菅原氏のこと。「香典気をつけて」とLINEでメッセージが入る。秘書が「明日は1030からです。香典はいかが致しますか? 額はおいくらでしょうか?」と尋ねると、菅原氏は「二万」「弐」と返信している。

 週刊文春の報道を受けて、菅原氏は周囲に「困った、どうしよう」と秘書たちにも相談していた。Aさんはこう振り返る。

「事務所では日程表や紙ベースのスケジュール表など、シュレッダーにかけ、パソコンから削除するように指示がありました。明らかな証拠隠滅工作でしたね」

 菅原氏はその直後、経産相を辞職に追い込まれた。

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文春報道後、怯えて隠ぺいを指示