阿部二軍監督の1年目は、昔ながらの指導方法が指摘され、アマチュア相手の練習試合に負け、選手に罰走させたことは物議を醸した。

「阿部の監督就任は既定路線だろうが、もう少し時間がかかりそう。周囲の意見も取り入れ始めているが、未だ変わらない部分もある。投げ込みや走り込みなど、疑問視された練習メニューは極力排除した。その代わり二軍戦などの実戦では、気になる起用方法が見られる」(巨人担当記者)

 5月16日、二軍の対ロッテ戦(ジャイアンツ球場)、高卒3年目の左腕・横川凱が完封勝利を挙げた。最後はスタミナが切れてへろへろの状態だったが、127球で最後まで投げさせた。その後、横川は一軍昇格を果たし27日の楽天戦(東京ドーム)では今季初先発を果たし、負け投手にはなったが5回2失点(自責点は1)と試合は作った。しかし、手放しでは喜べない事情もある。

「長い回を任せたいから投げ込ませるのも分かる。しかし一軍は故障者が多く、投手は1人でも多く欲しいのでヒヤヒヤさせられた。今は短い回でも良いので、投げられる投手の頭数が必要。二軍での育成も含め、現状に即した柔軟性も必要」(巨人OB)

 原監督は、柔軟性にも長けている。先を見据えてコーチ人事や選手起用を適材適所で迅速に行う。交流戦前には實松一成二軍バッテリーコーチが一軍、一軍の相川亮二バッテリーコーチが三軍などの大幅な配置転換を敢行。作戦伝達など、ベンチ内における監督直属の役割を石井琢朗野手総合コーチに任せた。

「組織全体を見て、現時点での最善の判断をした。戦力が整うまでは目先の勝利も必要なため、作戦面で細かい部分も必要になるから石井コーチを側に置いた。また支配下選手枠も空いている。育成から登録される選手、特に投手が出た時などに即対処できるよう相川コーチを三軍に置いたとも考えられる。實松コーチはパ・リーグも長かったので交流戦対策もある。勝つための動きですね」(巨人担当記者)

 また加藤健三軍バッテリーコーチ、三澤興一投手三軍コーチがそれぞれ二軍に昇格。矢貫俊之ファームディレクター補佐が三軍投手コーチへ新たに就任したのも、苦しんでいる投手力を上げるためだろう。またコーチ陣だけでなく選手起用に関しても動きは早く、5月30日ソフトバンク戦(ペイペイドーム)では、不調が長引いている丸佳浩をスタメンから外した。

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原監督は「現場、編成の両面で動きが早い」