自らの経験も踏まえ、坂元医師は接種の前に3つの準備が必要だと話す。
1つ目は、接種から2日間は外に出る予定を入れないこと。前述のとおり、37.5度を超える発熱の可能性があるからだ。
2つ目は、接種後に症状があったとき、相談できる相手を決めておくことだという。
「本来は医師に相談することが必要だと思うのですが、現状、接種を担当する医師は極めて多忙で、つながらない場合もあるかと思います。ワクチンを打つ予定があることをあらかじめ誰か知り合いに告げておき、副反応で不安になったときは連絡を取る。医学的な解決がなくても、話すことで不安がやわらぐと思います。もちろんひどい副反応の場合には救急受診も必要になるかもしれません。コールセンターや救急医療機関を紹介してくれるサービス機関の連絡先をあらかじめ用意しておくことも大切です。かなり希かとは思いますが、接種による発熱だと思ったのが、実はコロナの感染による発熱だったという例もあるようなので、特に1回目接種後の発熱は注意が必要かもしれません」
そしてもう一つ重要なのが、同居する家族と接種のスケジュールをずらすことだ。
「たとえば夫婦で同じタイミングで接種して発熱すると、共倒れになる可能性があるからです。ある地方では、高齢者施設の利用者や従事者に一度にワクチンを接種したところ、同時期に発熱して、介護者によるケアが回らないという事態が起きたそうです。家族の場合もこうしたことを起こさないよう、タイミングをずらすことが重要です」
前出の井上医師は、これから接種する人に注意してほしいこととして以下の2点を挙げる。まず、ワクチンは肩に注射するので、肩が出せる服装にしておくこと。スムーズな接種のために役立つ。そして、問診票を書く際、あらかじめかかりつけ医と相談の上記入すること。たとえば集団接種会場で接種する場合、初対面の医師とアレルギーや基礎疾患の病状について相談をしても判断が難しいことが多いからだ。
「自分の担当患者でアレルギーや基礎疾患がある人については、症状を把握したうえで、『それでもワクチンを打つことによる利益が大きい』いう説明をしてからワクチンを接種してもらうようにしています」(井上医師)
副反応が出るかどうかは人によって異なるが、接種を受ける前にできる限りの対策をしておきたい。
(文/白石圭)