メジャーでも名門ヤンキースで通算78勝(46敗)と実績を残した右腕の日本復帰は大きな注目を集めた。FAとなった昨シーズンオフは、メジャーチームと契約を結ぶと見られていただけに、“予想外の復帰”には楽天のみならず野球ファン全てが歓喜した。

「自分自身このフリーエージェントになった瞬間というタイミングでは、正直な話をするとヤンキースと再契約してまだプレーがしたいという思いがありました。しかし、もうかなり早い段階で話を代理人通じて聞いている中で、これはもう別々の道を歩んでいかなければいけないと感じたので、それ以降、本当にさまざまなことを考えました」(田中入団会見/1月30日)

 本人も語るように、メジャーでのプレーを続けたかったのは間違いない。だが、コロナ禍の中で、田中も含め昨オフにFAとなった選手は移籍市場でなかなか契約が決まらないという状況になった。

「米国内での評価は変わらず高かったが、コロナ禍もありヤンキースを含め条件提示が低くなった。田中の場合はお金がすべてではないだろうが、条件面がかけ離れていたのだろう。また交渉時期は米国内のコロナ禍の先行きが見えなかった。諸々の条件が重なり、日本復帰を決断したと思います」(米国エージェント関係者)

 様々な要因が重なり、最終的に田中は日本への復帰を決めた。プロ入り後から7年間楽天でプレーしたが、メジャーでも同じく7年間の時を過ごした。久々の日本でのマウンドに慣れるためには、もう少し時間がかかるのかもしれない。

「環境面での修正に戸惑っているようだった。中でも日米のマウンドの違いに、かなり神経質になっていた。ステップ幅などの技術面からスパイクのソールなどの用具まで、色々と試していた。開幕時の故障は、下半身にストレスが溜まっていたのだろう。良い選手は適応能力が優れているから、慣れるのも時間の問題でしょう」(在京球団編成担当)

「マウンドの土の違いは大きい。最近は米国式の粘土質のマウンドを採用している球場も多い。だがあくまで米国式の輸入で、悪く言えばマネであって、どうしても違いは出てくる。本場のマウンドで7年投げれば、身体(下半身)は米国モデルになっている。日本式に戻すよう調整しているところのはず」(スポーツ新聞MLB担当記者)

 投手にとってマウンドの質は死活問題。近年は各球場が米国と同じ粘土系の土をマウンドに取り入れている。しかしどうしても若干の違いが生じてしまう。また本拠地・楽天生命パークの土の管理は、甲子園と同じ阪神園芸が担当。どうしても日本タイプのマウンドに近づいてしまう。使用スパイクの裏面などにクッション材を採用するなどの工夫が話題になった。投げていて違いを感じているのだろう。今後、マウンドに対する更なる適応が求められる。

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グラウンド外での“疲れ”も心配?