「自分がスワローズでプレーしていた9年間で何回も優勝しているのを見てきた。100%のプレーをして、勝ちにこだわっていきたい」(バレンティン/20年1月29日・ソフトバンク入団会見)

 19年オフに9年間プレーしたヤクルトを離れ、ソフトバンクへの移籍を選んだ。外国人枠からも外れ日本人扱いされるため、ソフトバンクにとっては大きな補強となるはずだった。またバレンティン本人もNPB最強とも言えるチームでのプレーを心待ちにしていた。

 しかし話題となったのは入団会見だけだった。移籍1年目の昨年は60試合出場、9本塁打22打点に終わり、ポストシーズンでは出場機会すらなかった。通算300号まであと3本に迫っているのだが、記録を忘れてしまうほどの酷い結果となってしまった。

「バレンティンが活躍しなくても昨年は日本一になった。現有戦力でもチームには問題ないが、獲得時に費やした金額が大き過ぎる。今のままでは松坂大輔(現西武)と同じようになってしまう」(在京スポーツ新聞デスク)

 年俸5億円の2年契約で移籍したバレンティンとダブるのは、かつての松坂の姿だ。日本球界復帰にあたり、ソフトバンクと3年12億円の大型契約を結んだ。しかし右肩の故障などで、在籍3年間での1軍登板は16年10月の1試合のみ。17年オフには、育成選手契約かコーチ契約で右肩のリハビリをするプランを打診されたが拒否。退団して中日に移籍した。

「球団の強化への本気度は凄いが、空回りというか大外れすることがある。メジャーから入団した松坂には、相当額の金額を払ったが投げることもできなかった。バレンティンにも同様の雰囲気がある。ソフトバンクはお金持ちと言っても、こればかりは看過できないレベル」(在京スポーツ新聞デスク)

 4年連続日本一とNPBでずば抜けた存在のソフトバンクは年々、強さを増している。特に日本シリーズでは2年続けて巨人に4連勝を果たし、「セ、パの野球のレベルが違い過ぎる」という声まで聞こえるようになった。圧倒的な強さを発揮しているが、その裏には大きな失敗もいくつもあった。特に顕著だったのは松坂であり、そして今回のバレンティンも失敗例に加わる可能性が指摘される。

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古巣への復帰はある?