「年々、求めるものが高くなっている。九州移転当時は、パ・リーグ優勝が目標だった。今では日本一は当たり前で、本気でメジャーリーグに勝つことを目指している。そのためには必要なことはなんでもやるという本気度が感じられる。もちろん補強費や設備投資などにも、お金もかける。同じ九州の企業として尊敬しかないが、松坂、バレンティンには疑問符がつく」(九州地区テレビ局スポーツ担当者)

 明確なチームビジョンがあり、それに沿ったチーム作りを行う。育成を含め潜在能力の高い新人を獲得して、球界屈指の練習施設で鍛え上げる。現有戦力で足りない部分は、適材適所の補強をおこなう。ソフトバンクの強さの秘密は、編成を含めたチーム力にあると言っても過言ではない。その中でバレンティンの立ち位置は微妙になっているのは間違いない。

「ケガや故障など、余程のことがない限りバレンティンが試合に出るのは難しい。長打力だけを見れば、ずば抜けているが、頼らなくていい野球をやっている。チームの方向性に沿った野球ができる選手がどんどん育っている。そして大砲としての役割はデスパイネ、グラシアルの2人が果たしている」(在京球団編成担当)

 現在のチーム貢献度はデスパイネ、グラシアルが上。2人は常に全力プレーなのも高く評価されている。バレンティンのこれまでの実績は素晴らしいが、よほどの結果を出さなければ厳しい状況は変わらない。今年で37歳という年齢を考えても野球人生の残りは長くない。

ヤクルトのレジェンドであることに変わりはない。過去のことや、契約面、感情など、いろいろな問題はある。しかし本人が望むならヤクルト復帰もありではないか。球団関係者、ファンも受け入れてくれると思う。本人も散々稼いだのだから、お金が安くとも納得するのではないか」(在京球団編成担当)

 ここにきてヤクルト復帰という「ウルトラC」を口にする人もいる。戦前は苦戦が予想された今年のヤクルトだが、若手も育ち近い将来の可能性も見え始めた。仮に復帰となれば、優勝を狙うための推進力になり、人気復活のキーマンにもなれる。

 18年には青木宣親がメジャーから復帰を果たした前例がある。バレンティンの“出戻り”は決して夢物語ではない。昔の恋人と“元サヤ”に収まるのはよくあることだ。