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来日デビュー戦であまりにも残酷な結果が待ち受けていた。巨人の新外国人・テームズだ。新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言により、無観客で開催された4月27日のヤクルト戦(神宮)。「6番・左翼」で先発起用されたテームズは3回の守備で打球処理のため小さく跳び、着地した際に苦悶の表情を浮かべて倒れ込んだ。自力で歩けず、担架で退場する光景に騒然とした空気が流れる。病院で診断の結果、「右アキレス腱断裂」の重傷だった。
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「アキレス腱断裂の完治には半年以上かかると言われています。今年中の復帰は厳しいと思います。テームズは日本でプレーする新外国人の中でも成功する可能性が高いのではないかと期待されていました。韓国プロ野球で15年に47本塁打、40盗塁の「40―40(フォーティー・フォーティー)を達成し、17年にブルワーズでメジャー復帰し、31本塁打をマークしています。長打力が魅力である一方、確実性が課題と言われていましたが、来日して実戦での打撃内容を見ると変化球に対する対応能力も悪くない。ファームでも2打席連続アーチを放つなど、9試合出場で打率.500、4本塁打と格の違いを見せつけていた。1軍で活躍する姿を見たかったので残念です」(スポーツ紙の巨人担当記者)
テームズだけではない。楽天の新外国人・カスティーヨも来日デビュー戦となった23日の西武戦(楽天生命パーク)の初打席で左腹斜筋を損傷して登録抹消されている。
今年はコロナ禍による入国制限で来日する新外国人たちも難しい調整を強いられている。春季キャンプに参加できず、来日後も隔離期間を経てコンディションをもう一度作り直さなればいけない。
テームズは3月29日に来日。異国の地で結果を出そうと気持ちが先走り、リミッターが外れて故障するリスクを考えながら慎重に調整させてきた。イースタンで実戦を重ねて心身の状態を上げていったが、1軍の試合はモチベーションが変わってくる。ケガしたデビュー戦は不慣れな外野守備に加えて肌寒い環境だった。全力プレーの代償として、悲劇が起きてしまった。