「ダウンマウンティング」という概念を理解しているかどうかは重要です。とくにYouTubeではかっこ悪い方が再生される傾向にあります。いかにイジられるか、ネタにされるか、見下されるかが重要です。YouTubeに限らず、テレビのバラエティー番組でも、「演者がひどい目にあっている」企画が人気になるケースはあります。無人島で生活したり、未開の地に行ったり、ドッキリを仕掛けられたり、徒歩で長距離を歩いて何かを探したり、(見てるぶんには楽しいけど自分がやりたくない)という企画を、よく目にします。

「かっこわるい方が良い」と何回説明しても、多くの人は自分をかっこよくみせようとします。これが成功するYouTuberとそうではない人の差のひとつです。さらに今は不況で、景気は良くない時流なので、世界観としては、どこか暗さがある「陰」なコンテンツが受け入れられやすい時風です。世界観は陰によっていて、なおかつダウンマウンティングの要素をいかに取り入れるかは重要なのです。

 冒頭でとりあげたストーリーつき料理系は、ダウンマウンティングが非常に巧みです。登場人物が、例えばセレブなお嬢様だったり、裕福そうな人だったり、すてきな恋人がいる人々であれば、再生されないかもしれません。とても巧妙に、インサイトを満たす設定と作り込まれた世界観があります。ストーリーつき料理ジャンルは今後数が増えていくと思います。