柳美里、小川洋子、川上未映子…日本の女性作家が海外で評価される理由 (1/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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柳美里、小川洋子、川上未映子…日本の女性作家が海外で評価される理由

濱田ももこdot.#AERA English
『Tokyo Ueno Station』Yu, Miri / tr. Giles, Morgan TRN Tilted Axis Press
2019年3月にイギリスのインディペンデント出版社Tilted Axis Pressから英訳版が出版。その後、アメリカでも出版され、受賞につながった。

『Tokyo Ueno Station』Yu, Miri / tr. Giles, Morgan TRN Tilted Axis Press 2019年3月にイギリスのインディペンデント出版社Tilted Axis Pressから英訳版が出版。その後、アメリカでも出版され、受賞につながった。

 世界で日本の女性作家の作品が注目を集めている。その背景には、日本の女性の「生きづらさ」があると専門家は指摘する。現在発売中の『AERA English 2021 Spring & Summer』(朝日新聞出版)から紹介する。

【写真】芥川賞を受賞した現役大学生作家はこの人

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 2014年に発刊された柳美里の『JR 上野駅公園口』が、5年の時を経て英訳され、20年の全米図書賞(翻訳文学部門)に輝いた。世界的に権威がある文学賞のひとつだ。

 この作品は、高度経済成長期に福島県から出稼ぎのために上京したホームレスの男性を通じて、日本社会の貧困や家族の死を描く。翻訳文学を研究する都甲幸治さんは説明する。

「全米図書賞は毎年審査員が総代わりする。昨年の審査委員長を務めたディナウ・メンゲスツさんは、エチオピアからの亡命者の息子で、マイノリティーや経済的な苦しみをテーマに持つ作家です。柳美里さんの作品が刺さるのもうなずけます」

 そもそも英語圏で日本の現代文学の評価が高まったのは村上春樹や吉本ばななの影響が大きいという。

「現代の都市を舞台にし、ポップかつ幻想的な文体と、SFチックな表現が受けました。『欧米とは違う日本文化』よりも、普遍的な現代の暮らしの描写が、共感を得たのでしょう」

 この流れをくみ、小川洋子や川上弘美、そして最近では村田沙耶香や川上未映子が注目を集めている。

「現代の表現ができていて、かつ女性の描写が丁寧な作家が支持されているように感じます」

 作品が優れていることはもちろんだが、翻訳文学の評価には良質な訳が欠かせない。英語圏には、翻訳者を養成する「翻訳コース」を設けている大学が多くある。先に挙げた作家たちの訳を手掛ける翻訳者のほとんどが英語圏の大学の出身者だ。また、賞を獲得している『JR 上野駅公園口』はモーガン・ジャイルズ、多和田葉子の『献灯使』はマーガレット満谷と、女性の翻訳家が目立つ。

「最近の翻訳者たちは、自分が翻訳したい作品を訳しているようです。そこで女性作家の作品が多く選ばれています。翻訳家も傾向として女性が多く、おのずと共感する作品を選んでいるのではないでしょうか」


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