昨年は110位だった日本はどうだったのでしょうか。アイスランドやノルウェー、フィンランドなど北欧の国々が上位を占める中で、日本は121位とG7の中では最下位。昨年から大幅に順位を下げる結果となりました。その要因として、ランキングが上位の国と比べて女性の政治参加度が低い、女性管理職が少ない、家庭における女性の負担が大きいことに加えて、伝統的な社会の構造や風習が要因としてあるのではないかと分析されています。

 2017年の秋以降、女性が受けた嫌がらせやセクハラ、性的暴行の被害体験を告白し共有する「#MeToo」運動がS N Sを通じて世界に広がり、世界中で性暴力やセクハラ被害が次々と明るみに出てきましたが、日本の医療界での女性差別といえば、女子受験生への一律減点による不正入試は記憶に新しいのではないでしょうか。2018年、東京医大が女子受験生を一律減点し、恣意的操作を行っていたことが発覚したことを発端に、女子受験生や浪人生への一律減点など医学部における不正入試の実態が続々と明らかになりました。

 東京医大では、2010年の医学科一般入試で女子の合格者数が全体の38%に達したため、2011年頃より女子受験生を一律に減点し、女子の合格者数を3割に前後に抑えていたといいます。女子は結婚や出産で医師をやめるケースが多いことや、緊急手術が多く勤務体系が不規則な外科系の診療科では、「女3人で男1人分」と、出産や子育てを経験する女性医師は男性医師ほど働けないことが、女子のみ減点していた理由でした。系列の病院で勤務する医局員不足を懸念しての必要悪であり、暗黙の了解であったといいます。

 一般に、女性の労働力率は、結婚や出産期に当たる年代に一旦低下し、育児が落ち着いた頃に再び上昇することが知られています。これは「M字カーブ」と言われており、女性医師も例外ではありません。平成18年度厚生労働科学研究「日本の医師需給の実証的調査研究」によると、女子医師の就業率は、医学部卒業後減少傾向を認め、卒後11年目(36歳)で76.0%まで落ち込んだ後、再び回復を認めています。

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医師の給与は男性医師の方が女性医師に比べて多い報告も