「一億総生活保護」化!?ベーシックインカム導入で危惧される未来とは

朝日新聞出版の本

2021/02/28 08:02

的場昭弘氏(左)と、白井聡氏(右)
的場昭弘氏(左)と、白井聡氏(右)

 いま、貧困や経済格差の問題を解決する方法として、国が全国民に一律で必要最低限の生活費を給付する「ベーシックインカム」が注目されています。その実現可能性は、どのくらいあるのでしょうか? 『いまこそ「社会主義」』(朝日新聞出版)の共著者である的場昭弘さんと、『武器としての「資本論」』(東洋経済新報社)の著者である白井聡さんに聞きました。(※本記事は、朝日カルチャーセンター主催で2020年11月に行われた対談講座「マルクスとプルードンから考える未来」の内容の一部を加筆・編集したものです)

■ベーシックインカムは、企業のためのもの?

――ベーシックインカム論は、労働者が資本から自由になる道でしょうか? それとも、国民が国家に取り込まれる道でしょうか?

的場:ベーシックインカムというのは、もともとは資本主義的な発想の中から出てきた概念です。資本主義経済では、消費者にたくさん消費してもらわないと、企業活動を継続することができません。つまり、消費者である国民の所得の保障を国家がすることで、企業活動が滞りなく行えるようにしましょうというのが、ベーシックインカム論の背景にあるもともとの考え方です。

 一つの近未来として、企業活動がどんどん自動化されていって、いわばロボット化して、多くの労働者が働かなくてもよくなった状況を考えてみましょう。そうすると、仕事を失った労働者は賃金をもらうことができませんから、積極的な消費が行われなくなります。そこで、消費を行ってもらうための方策のひとつとして、ベーシックインカムが出てきます。

 このベーシックインカムの実現を考えるにあたってポイントになるのは、国家が国民にあまねくお金を配るための原資をどうやってつくるか、ということです。企業活動が滞りなく行えるようにするという目的に照らせば、企業に税金をかけるというのが合理的となります。その税金を原資にして、国家が労働者にお金を与えて、消費してもらうということです。

1 2 3

あわせて読みたい

  • 古賀茂明「安倍政権の外国人単純労働者の受け入れ拡大は経団連のための低賃金政策だ」
    筆者の顔写真

    古賀茂明

    古賀茂明「安倍政権の外国人単純労働者の受け入れ拡大は経団連のための低賃金政策だ」

    dot.

    11/19

    大阪・西成は全世帯の3分の1が生活保護受給

    大阪・西成は全世帯の3分の1が生活保護受給

    週刊朝日

    9/26

  • 下流社会が二極化…大阪・あいりん地区で“超エリート”と呼ばれる人々

    下流社会が二極化…大阪・あいりん地区で“超エリート”と呼ばれる人々

    dot.

    9/2

    「全国民に5万円給付」で日本経済に喝 経済評論家・山崎元氏の提言

    「全国民に5万円給付」で日本経済に喝 経済評論家・山崎元氏の提言

    週刊朝日

    8/12

  • 生活保護費が非合法ゲーム店へ流れる大阪・西成の現実

    生活保護費が非合法ゲーム店へ流れる大阪・西成の現実

    週刊朝日

    9/26

この人と一緒に考える

コラムをすべて見る

コメント

カテゴリから探す