その他、昨季6位のFC東京や2019年の王者・横浜FMに加え、大型補強に成功した清水、新監督の手腕に期待が集まる浦和も注目のチームだが、昨季の直接対決を軸にして考えると、神戸が“打倒・川崎”の候補として急浮上する。昨季14位に沈んだ神戸は、川崎を相手にも1分け1敗と勝つことはできなかった。しかし、8月26日(△2-2)、9月9日(●2-3)と2試合とも打ち合いの試合を展開した点は見逃せない。

 注目すべきはボール支配率で、2試合(56.2%、55.4%)ともに川崎を上回った。これは圧倒的な攻撃力を誇った川崎にとっては稀なこと。昨季の川崎はリーグ戦34試合中、ボール支配率が50%を下回ったのは10試合あるが、45%を下回ったのは3試合のみで、そのうち2試合が神戸戦。ボール支配率がそのまま試合結果に繋がらないことは周知の事実だが、昨季、川崎が支配率50%未満の試合は6勝3分け1敗という結果だった。

 勝ち越してはいるが、支配率50%を超えた試合が20勝2分け2敗だったことを考えると、やはり“苦戦している”と言える。神戸にとっては、特に8月の試合が大きなヒントになるだろう。素早いプレスから中盤を支配し、シュート数も15対9と上回った。新たにブラジルの超逸材FWリンコンを補強した中、真っ向勝負で、今季こそ“打倒・川崎”を目論む。

 もう1チーム、札幌も注目したいチームだ。昨季の川崎戦は、8月15日(●1-6)と11月3日(○2-0)と戦って1勝1敗。8月の対戦では後半5失点で崩れたが、その反省を踏まえた11月の対戦では見事な試合運びを展開。前線からマンツーマンでの激しいプレスを仕掛けて相手のパスワークを封じると、後半17分、20分とカウンターから立て続けに得点を奪った。見事な“ミシャサッカー”で12連勝中だった川崎を相手に快勝を収めてみせた。川崎が昨季、無得点だったのは4試合のみで、2点差で敗れたのは、この札幌戦のみ。今季、両チームのメンバー変更はあるが、監督は同じ。ペトロヴィッチ監督率いる札幌が、川崎にとっては天敵になり得る存在だ。

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各チーム“川崎対策”を徹底?