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「ゴールはここじゃない」 治療を諦めかけていた患者を後押しした皮膚科医の言葉

連載「現役皮膚科医がつづる “患者さんと一緒に考えたいこと、伝えたいこと”」

大塚篤司dot.#ヘルス
大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医

※写真はイメージです(写真/Getty Images)

※写真はイメージです(写真/Getty Images)

 一般的に、患者は悪い状態に慣れてしまうと、そこから一歩先に進んで治療を受けようとする意思が弱くなりがちだといいます。「今の状態でいいかな」と諦めかけている患者に、京都大学医学部特定准教授で皮膚科医の大塚篤司医師は、「ゴールはここじゃない」と伝えたいそうです。

*  *  *
 ラグビーワールドカップで日本がベスト8に進出したのは、わずか1年半前の2019年の出来事です。2020年はじめに新型コロナウイルス感染症が拡大して、あの頃と世界は別のものに変わってしまったように感じます。

 当時、テレビではラグビー日本代表の大躍進が頻繁に取り上げられ、テーマソングであったB’zの「兵、走る」が何度も流れました。B’zの代表作でもある「ウルトラソウル」が世界水泳のテーマソングであったことを考えると、ラグビーでもまたヒットソングを飛ばすB’zはさすがといえます。

 私は根っからのB’zファンなので、世の中をB’zびいきで見てしまいますが、「兵、走る」で新たにB’zファンになった人も多いのではないでしょうか。おそらく、このコラムを読んでくださっている人の中にもB’zファンはいるでしょう。

 さて、今回も私のB’z愛から、B’zから連想される医療のコラムを皆さんにお届けしたいと思います。

「ゴールはここじゃない」という言葉は、スポーツだけでなく医療の現場でも治療を考えるうえで重要なメッセージとなります。

 尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)という病気をご存じでしょうか?

 このコラムでは何度も取り上げてきた皮膚疾患なので、普段から読んでくださっている読者の方はよくご存じだとは思います。

 尋常性乾癬とは皮膚のアレルギー疾患で、全身に白いカサカサを伴った円板状の赤いブツブツができる病気です。欧米ではアトピー性皮膚炎よりも多い皮膚疾患で、人口の数パーセントの人が乾癬に罹患しているといわれています。

 治療がうまくいかない場合、体からフケのようなものが大量に落ち、患者さんの生活の質を下げてしまいます。また、人目を気にして温泉やプールに行けない患者さんも数多く存在します。

 尋常性乾癬はアレルギーなので、人にうつることは決してありません。皮膚病の部分をほかの人が触っても全く問題のない病気です。

 最近でこそ、尋常性乾癬は感染しない病気ということが一般の人にも広まってきましたが、「乾癬」という名前がどうしても「感染」を連想させ、患者さんに窮屈な思いをさせてしまっている部分があります。

 尋常性乾癬の患者さんの中には、関節炎を併発する人もいます。間接の痛みが皮膚のブツブツと同じものとは気がつかず、治療が遅れてしまうケースも見受けられます。


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