八村のNBA一年目は、股関節の故障もあったが出場した48試合全てでスターターを務め、1試合平均13.5得点、6.1リバウンド、1.8アシストを記録。ウォールという大黒柱を欠いたチームで、ビールとともに主力として活躍した。

 では気になる2年目は……、というわけだが、果たして八村にはどんなシーズンが待ち受けているのだろうか。

 国内ではプロ野球などでよく「2年目のジンクス」という言葉を耳にする。初年度から活躍したルーキーやブレイクした選手の翌シーズンの成績が悪化することで、主に相手チームに研究され、マークが厳しくなることがその要因として挙げられる。そして、結果を求めるあまり空回りしてさらに成績を落とし、これに周囲のプレッシャーが輪を掛けるという負のスパイラルに陥るわけだ。

 米国ではこれを「Sophomore slump」などと呼ぶ。「Sophomore」は高校や大学の2年生のこと。つまり海の向こうでも、「2年目のジンクス」は存在している。

 近年のNBAで、この「Sophomore slump」に陥った代表格といえば、当時サクラメント・キングスでプレーしたタイリーク・エバンスやフィラデルフィア・76ersで1年目を過ごしたマイケル・カーター=ウィリアムス(現オーランド・マジック)が挙げられるだろう。

 2009-10シーズンのエバンスの活躍は目覚しく、72試合に出場して20.1得点、5.2リバウンド、5.8アシスト、1.5スティールのアベレージをマーク。1年目から1試合平均で20得点、5リバウンド、5アシスト以上したのは、オスカー・ロバートソン氏、マイケル・ジョーダン氏、レブロン・ジェイムス(ロサンゼルス・レイカーズ)、ルカ・ドンチッチ(ダラス・マーベリックス)くらいで、このメンバーをみるだけで、エバンスがどれだけのスタッツを記録したかが分かる。

 2年目のエバンスは、17.8得点、4.8リバウンド、5.6アシスト、1.5スティールのアベレージと決して非難されるようなものではなかったが、それ以降もルーキーシーズンまでの数字をマークできておらず、今は薬物禁止プログラム違反で選手登録を2年間剥奪されている有様だ。

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2年目に飛躍する選手も多い?