重苦しい雰囲気が漂っていた巨人ベンチ (c)朝日新聞社
重苦しい雰囲気が漂っていた巨人ベンチ (c)朝日新聞社

 強いから元気に、弱いから暗く見えるのだろうか?

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 ソフトバンク巨人の違いは野球の質だけではない。全試合を通じてベンチから聞こえる声量が異なった。騒がしいほどの盛り上がりがソフトバンクの勢いを作り出し、それが昨年と同じ4勝0敗という圧倒的な強さでの日本シリーズ制覇にも結びついたのか……。

「絶好調!」

 巨人時代の中畑清(元DeNA監督)は当時の長嶋茂雄監督に「調子はどうだ?」と聞かれた際、常に元気良く答えていた。「まあまあです、なんて答えていたら、使ってもらえない。いつも元気よく『絶好調です!』と答えろ」とベンチ入り当落線上だった頃、コーチから助言され常にそう言うようになった。元気が勢いをもたらし、実力も追いついて行く。ムードメーカーだけではなく、4番を任される存在になり巨人のレジェンドにもなった。

「シリーズを通して3カメ(三塁側カメラ席)で撮影していた。大阪ではソフトバンクの声がうるさいほど聞こえた。時にはギャグを織り交ぜたり笑い声も聞こえた。福岡に移動してからは、巨人から大声がほとんど聞こえなかった。チャンスの時などは拍手などをするが、それでも静かな時間も多く感じた。日本シリーズのみでなく大事な試合ではもっと盛り上がるはずなんですがね」(スポーツ新聞カメラマン)

 試合内容が一方的だったのもあるが、巨人ベンチはいつも以上に静かに感じたと言う。他球団に比べ、シーズン中から「やかましい」と言うほどではない。しかし、それでも仲間への声援などは常に聞こえるものだ。大舞台の緊張がそうさせたのかはわからないが、巨人は普段と様子が異なっていた。

「試合中の映像でも巨人で声を出しているのはウィーラーくらい。攻撃中は常にベンチで『カモン!』と声を張り上げている。また抑えた投手を通訳なしで労っている場面もあった。坂本勇人岡本和真丸佳浩などは打撃の調子が上がらないのか常にバットを握って考えている。若手選手からも声が消えているようだった。巨人ベンチの画を使うと、試合展開が如実にわかる感じだった」(スポーツニュース現場ディレクター)

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終始“暗く”感じた巨人のベンチ