今季途中に加入したウィーラーは、9月の月間打率が1割3分と苦しんだ時期もあった。だが、シーズンが終わりに近づくとともに成績を上げ、日本シリーズ第2戦では本塁打を放つなど、湿りがちな打線で一人気を吐いていた。気を良くして声が出ているのはわかるが、他の選手から元気が伝わって来ないのは中継からもわかった。本来ならキャプテン坂本などが無理にでもチームを引っ張るべきだろうが……。

「勇人本人も語っているが、マイペースな性格で自分から率先して周囲を引っ張るタイプではない。キャプテン就任は文句のない実績が説得力を生み出すということから。自覚が出始め、積極的に声を出したりするようにもなった。大舞台でも周囲もサポートしなくてはいけない。だが、チーム全体が沈みがちだったため、勇人1人に重責を背負わせる感じになった。カラ元気でも良いから、ムードメーカーが現れて欲しい」(巨人関係者)

 一方ソフトバンクは、長きにわたってチームの明るさを象徴する“元気印”が今シリーズも大きな役割を果たした。

「マッチ(=松田宣浩)の存在が大き過ぎる。ベテランの年齢で成績的には絶頂期ほどではない。しかしチームへの献身性においては他の追随を許さず絶対に必要な選手。攻守を問わず常に声を張り上げ、1試合終わると喉がガラガラの時もあるほど。マッチに引っ張られるように他の選手も声を出す。新人選手は初めてのキャンプで印象に残るのは、マッチの元気と言うほど。またミスした選手などをベンチなどで絶妙にフォローする。彼がいてくれるだけで、雰囲気が壊れる心配はない」(ソフトバンク関係者)

 巨人とは対照的にソフトバンクには松田がいた。本塁打を放った際、ベンチ前で外野席に向かって雄叫びを上げる『熱男!』が代名詞。明るいキャラで知られているが、グラウンド外ではシャイな部分も垣間見せる男なのは有名。チームのため無理をしてまで声を出し続ける。時にはピエロになることも辞さない。

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明るさはソフトバンクの伝統?