ソフトバンクの伝統のようなものができ始めている。チーム自体は同じでも親会社が変われば、球団色は大きく変化する。ソフトバンクのチームカラーの1つが、何事にも積極的に元気に立ち向かうこと。そのためには声を出すことが不可欠で、それを先頭に立って実践したのがムネ(=川崎宗則)。遊撃手ムネの横(=三塁手)にいるマッチは、一挙手一投足を見続けてきた。声を出すことやチームを気遣うことの重要性を知り、自然にできるようになった。うちの大きな武器ですよ」(ソフトバンク関係者)

 野球が大好きな川崎(BCリーグ・栃木)は、チームが盛り上がって結果につながることを率先して行った。声を出すことはもちろん、球場内一体化のため、シートノック前にチアリーダーに合わせてダンスを踊ることもあった。MLB挑戦時も変わらない姿勢を貫いた。言葉が通じなくても現地の選手、ファンに心から受け入れられた理由の1つだ。そういう選手たちが継承したソフトバンクの魂は、熱く燃えていて、大舞台になるほど大きな力を呼び覚ます。

「意地を見せるしかない。ジャイアンツというネームを背負っているわけだから。すごく歴史の古いチームでやっているわけだから」(巨人・元木大介ヘッドコーチ)

 シリーズ3連敗時に発したコメントは正論である。巨人軍が『盟主』と呼ばれた理由は、そういった誇りの高さだ。しかし時代は変わり、選手の気質も変化している。『プライド=誇り』と言う抽象的なものを感じなくなっている部分もある。それならば『元気』『声』と言ったわかりやすい、具体性のあるものを敢えて重視すべきかもしれない。『カラ元気』だって良いじゃないか。巨人の巻き返しは、まずそこが始点のような気がする。